先月父が亡くなり葬儀も終わりました。その後すぐに、生前父が入院していた病院から50万円の入院費用の請求書が届きました。父が入院の際、私が連帯保証人となっていたので、私の預貯金から入院費用を支払いました。しかし、その後、父が多額の借金を負っていたことが分かりました。今から相続放棄することは可能でしょうか

 ご相談者は連帯保証人であり、ご相談者自身の預貯金から50万円を支出して支払ったとのことですので、ご相談者は連帯保証人としてご自身が負担すべき保証債務の支払いをしたと評価することができます。

 相続放棄は、いちど亡くなられた方の財産を処分してしまうと認められません。なぜなら、亡くなられた方の財産の処分は、遺産を相続することの意思表示とみなされるからです。亡くなられた方が生前に負っていた負債の支払いも、財産の処分に含まれます。

 しかし、ご相談のようなケースでは、冒頭のとおり未だお父さんの財産を処分していないと考えられますので、今から相続放棄の手続きをとることが可能と考えます。

 なお、今回はご質問者が連帯保証人として支払っていますが、仮に保証人でない相続人が支払った場合であっても、そのお金を亡くなられた方の遺産から支出するのではなく、支払者自身名義の預貯金から支出した場合でも、やはり「財産の処分」には該当しませんから、この場合も相続放棄は可能と考えます。

 しかし、50万円を亡くなられた方の遺産から支出した場合は、「財産の処分」には該当すると考えられますので、相続放棄は認められない点にご注意ください。

(文責 中里 功)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立