先月父が亡くなり葬儀も終わりました。その後すぐに、生前父が入院していた病院から50万円の入院費用の請求書が届きました。父が入院の際、私が連帯保証人となっていたので、私の預貯金から入院費用を支払いました。しかし、その後、父が多額の借金を負っていたことが分かりました。今から相続放棄することは可能でしょうか
ご相談者は連帯保証人であり、ご相談者自身の預貯金から50万円を支出して支払ったとのことですので、ご相談者は連帯保証人としてご自身が負担すべき保証債務の支払いをしたと評価することができます。
相続放棄は、いちど亡くなられた方の財産を処分してしまうと認められません。なぜなら、亡くなられた方の財産の処分は、遺産を相続することの意思表示とみなされるからです。亡くなられた方が生前に負っていた負債の支払いも、財産の処分に含まれます。
しかし、ご相談のようなケースでは、冒頭のとおり未だお父さんの財産を処分していないと考えられますので、今から相続放棄の手続きをとることが可能と考えます。
なお、今回はご質問者が連帯保証人として支払っていますが、仮に保証人でない相続人が支払った場合であっても、そのお金を亡くなられた方の遺産から支出するのではなく、支払者自身名義の預貯金から支出した場合でも、やはり「財産の処分」には該当しませんから、この場合も相続放棄は可能と考えます。
しかし、50万円を亡くなられた方の遺産から支出した場合は、「財産の処分」には該当すると考えられますので、相続放棄は認められない点にご注意ください。
(文責 中里 功)