子供の進学費用として300万円ほどのまとまった資金を準備をしなければなりませんが、昨年大病を患った影響で収入が激減し、日々の生活で目いっぱいの状態です。2年前に亡くなった父の遺産を当てにしていたのですが、相続人間の遺産分割協議が難航しており、未だに話し合いがまとまる目途は立ちません。   何かよい方法はありませんか?
必要な資金が300万円とのことですと、改正民法909条の2に規定された預貯金の仮払い制度では仮払いを受けられる上限が150万円のため不足が生じることになりますね。このような場合、家庭裁判所に対し遺産分割調停の申立てをし、あわせて預貯金仮払いの保全処分を申し立てる方法を検討しましょう(改正家事事件手続法200条3項)。

 この申立てが認められるためには、相続人の生活費の支弁や相続債務の弁済のために必要であることを疎明しなければなりません。また、他の相続人の利益を害さないことも要件とされていますので、ご注意ください。

 なお、改正民法909条の2の仮払い制度と異なり、遺産の一部分割とみなされる規定はありません。したがって、本案である遺産分割調停や審判では、保全処分によって仮払いを受けた預貯金分も含めた遺産分割が行われる点にもご注意ください。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立