他界すると銀行口座が凍結され、認知症を患っても同様に凍結され、引き出しができなくなると聞きました。本当でしょうか
 まず、預金者が亡くなった場合ですが、単独相続の相続人でない限り、原則としてその預金を誰が相続するかということを決める作業である遺産分割を行わないと、預金の引き出しはできません。例外として、銀行によっては、葬儀等の費用については他の相続人の同意が無くても預金を引き出せる場合がありますので、その銀行に尋ねてみてください。

 次に、預金者が認知症などを患った場合ですが、銀行が定める「預金取引規定」によると、預金者について成年後見等開始の審判がされたときは成年後見人等がその旨を届け出ることになっています。従って、成年後見人等の届出がされると預金者本人による預金の引き出しはできなくなります。また、成年後見等開始の審判がされていないときでも、預金者本人の様子から判断能力が低下していると判断された場合は預金の引き出しを断られることもあります。銀行がこのような扱いをするのは、預金者が成人として正常な判断能力を有していることを前提としているからです。

 ところで、いずれの場合も、銀行の担当者から見れば、窓口に来店している方が預金者本人か、預金者本人だとしても判断能力が低下しているかどうかはよく分からないこともあります。そのため、相続人や本人に代わって財産を管理する方が、預金者本人の名義で事実上取引を継続してしまう例もあるようです。しかし、他の親族から在らぬ疑いを抱かれるなどトラブルに発展する可能性もありますから、預金者本人が死亡した場合や成年後見等開始の審判があった場合は、必ず銀行に届け出るようにしましょう。

(文責 井上尚人)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立