死亡した父の預金口座を解約して葬儀費用を支払いたいのですが、相続で揉めており、兄が預金の解約に反対しています。兄の協力がなければ預金を解約することはできないのでしょうか。また、兄は預金したお金を誰かのものにするのではなく、相続についての一時的な管理費用として別口座で管理するのなら協力するとも言っています。一時的な管理費用の別口座にするにはどうすればいいのでしょうか。
 銀行の預金口座は、口座名義人が死亡すると凍結されて入出金ができなくなります。これは、死亡により相続が開始し、故人の遺産は相続人全員の共有財産となるからであり、相続人全員の協議(遺産分割協議)により誰が相続するかが決まらないと出金ができなくなります(CF:最判平成28年12月19日)。
 ただし、葬儀費用の支払いは、遺産分割協議の成立を待てないことも多いため、金融機関によっては、葬儀社の見積などを確認のうえ葬儀費用分の出金を認めてくれる場合もあるようですので、該当の金融機関に相談してみたらどうでしょう。

 また、一時的な管理費用の別口座を作る場合、相続人の1名が代表して管理することになりますが、自身の資産との混在を避けるためにも口座名義に肩書を付して作成されたほうが良いでしょう。金融機関によって取扱が異なりますが、事情を説明すれば「亡△△相続用預り口〇〇〇〇」などの肩書を付して口座開設してくれる場合もありますので、相談してみるとよいでしょう。                    

(文責 花田眞吾)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立