公益目的の法人に寄付をする遺言書を作成したいと思います。知人から遺留分について注意するように言われましたが、遺留分とは何ですか
 遺留分とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる権利のことをいいます。

 原則として、ご自分の財産は遺言によって自由に処分することができますし、その意思は尊重されるべきです。そのため、寄付先を決めたうえで「財産をすべて公益法人社団○○に寄付する」とする内容の遺言を作成することは問題ありません。

 しかし、その内容の遺言で相続人であるご家族の生活が不安定になってしまう様であれば、ご家族としても何かしらの主張をしたいところです。そこで民法は相続人が最低限相続できる権利を遺留分として保証しています。

 遺留分が保証されている相続人は、配偶者、子供、父母(直系尊属)です。兄弟姉妹は、亡くなられた方と経済的な結びつきが弱いことから遺留分がありません。

 遺留分として請求できるのは、配偶者や子供が法定相続人にいる場合は相続財産の2分の1、法定相続人が直系尊属だけの場合は、相続財産の3分の1になります。遺留分を確保するためには、遺言書により財産を相続した人に、「遺留分減殺請求」をする必要があります。さらに、「遺留分減殺請求」の権利は、相続開始、および自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年行使しない場合、または相続開始から10年経過すると時効によって消滅し行使できなくなります。

(文責 島 武志)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立