私には身寄りもないので、遺産はなにか公共のために役立ててもらいたいと考えています。遺言も遺しておこうと思いますが、具体的にどのような団体に寄付をすればよいのか分かりません。確実に寄付ができるようにするには、どのようにすればよいでしょうか
 遺言に具体的な寄付先が特定できればよいのですが、ご質問のようなケースでは遺言執行者を指定しておき、具体的な寄付先を遺言執行者に委ねる方法も一つの方法です。

平成5年1月19日の最高裁判例は、「すべてを公共に寄与する」と書かれていた遺言の有効性が争われた裁判例でしたが、寄付先が特定されていない点について裁判所は「遺言執行者が受遺者(筆者注・寄付先のこと)として特定の者を選定することをゆだねる趣旨を含む」と判断しました。

 つまり、どこへ寄付するのかは遺言執行者が決めればよいという意味ですね。

 なお、遺言執行者が実際に職務を行うに際しては法律の規定にしたがう必要がありますので、司法書士のような法律の専門家を指定しておくべきです。

 また、「公益財団法人ふじのくに未来財団」のような団体を寄付先に指定しておくのも有効な方法のひとつです。この財団は実際に公益活動に従事している複数のNPO法人と提携関係にあり、公益目的で寄付を受けた財産を、寄付者の希望や目的に適う活動を進めるNPO法人に助成することで、その活動を支援することに取り組んでいる団体です。

 したがって、この財団を寄付先に指定しておけば、具体的な運用はすべて財団が担ってくれることになるわけです。

 詳しくは、同財団のウェブサイトをご参照ください。

(文責 中里 功)

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立