Aが死亡し、相続人はXとYの2名です。Aは、「甲土地をTに遺贈する」との遺言を残していましたが、甲土地について、まだAからTへの所有権移転登記はしていませんでした。

 Tは、甲土地の所有権について、Kに対抗することはできません。

 判例は、「遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると解するのが相当である」(最三小判昭和46年11月16日)としています。また、民法は、「不動産に関する物件の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(177条)としています。これらにより、Tは甲土地につき登記がなければKに対抗することはできません。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立