改正民法が施行される2020年4月1日より前に締結された賃貸借契約に改正民法が適用されるかどうかは、改正民法の「附則」を注意して見ておく必要があります。
施行日前に贈与、売買、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託又は組合の各契約が締結された場合におけるこれらの契約及びこれらの契約に付随する買戻しその他の特約については、なお従前の例によるとされていますから(附則34条1項)、2020年4月1日より前に締結された賃貸借契約には旧法が適用されます。
また、施行日前に通知が発せられた意思表示の効力発生時期については旧法が適用されますので(附則6条2項)、例えば、施行前に発せられた解除等の意思表示の到達は旧法が適用されます。
さらに、施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例によるとされていますから(附則10条4項)、施行前に生じた賃料等の消滅時効期間は旧法が適用されます。
このほか、施行日前に利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権に係る法定利率についてはなお従前の例によるとされていますから(附則15条1項)、施行前に生じた利息は旧法が適用され、施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率についてもなお従前の例によるとされていますから(附則17条3項)、施行前に生じた利息の法定利率は旧法によります。
また、施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例によるとされていますから(附則21条1項)、施行前にされた保証契約には旧法が適用されます。
さらに、施行日前に契約が締結された場合におけるその契約の解除については、なお従前の例によるとされています(附則32条)。
一方、施行日前に締結された定型取引に係る契約については、改正民法の適用を受けることとなりますので(附則33条)、賃貸借契約に付随して締結された定型取引に係る契約は、改正民法施行により定型約款の規定の適用を受けることになります。