遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められる預貯金の額は、相続が発生した時点における残高の3分の1に、払戻しを求める相続人の法定相続分を乗じた額です。ただし、金融機関ごとに150万円が限度とされています。
そして、ここでいう「預貯金の額」は、預金毎に考えられることになります。たとえば、ある金融機関に故人の普通預金300万円と定期預金1200万円がある場合で、払戻しを求める相続人の法定相続分が2分の1の場合には、普通預金については300万円の3分の1の100万円に法定相続分である2分の1を乗じた50万円が限度額となり、定期預金については1200万円の3分の1の400万円に法定相続分である2分の1を乗じた200万円が限度額となります。
しかし、金融機関ごとに150万円の限度額という制限がありますから、普通預金50万円、定期預金200万円のうちから150万円の範囲内で選択して払戻請求をすることになります。
したがって、150万円の範囲内であるからといって、普通預金について50万円を超えて払戻す(例:普通預金100万円、定期預金50万円)ことは、立案段階では想定されていません。