連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として、他の連帯債務者に対してその効力を生じないとされ、「履行の請求」これまでの絶対的効力から原則的な相対的効力に改正されましたが、実務的にどのようなことに注意すればいいでしょうか。

 民法改正前は、連帯債務者の一人について履行の請求をすれば連帯債務者全員について履行遅滞に陥らせたり、連帯債務者全員について時効中断の効果が生じていましたが、改正民法により履行の請求は相対的効力とされたため、連帯債務者の一人について履行の請求をしても、他の連帯債務者については履行遅滞や時効中断の効果が生じないことになります。

 したがって、連帯債務者全員について履行遅滞に陥らせたり、連帯債務者全員について時効中断(完成猶予)の効果を生じさせるためには連帯債務者全員に対して履行の請求をする必要があります。

 なお、これと平仄を合わせ、改正民法により連帯保証人に対する履行の請求も相対的効力に変更され、主たる債務者に対して履行遅滞や時効中断(完成猶予)の効果が生じないこととなりましたので注意が必要です。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立