ご質問のとおり、連帯債務者の一人について時効が完成した場合には、改正前は絶対的効力を有するとされていましたが、民法改正により相対的効果に変更されました(民法441条)。
たとえば、甲、乙及び丙が300万円の連帯債務を負っており、甲の債務について時効が完成したとしても、相対的効果とかないために、債権者は、乙、丙に対して300の万円の請求をすることができることとなります。
また、445条は「連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第四百四十二条第一項の求償権を行使することができる。」と規定していますので、乙または丙が債権者に弁済した場合には、時効が完成している甲に対して求償することもできます。
さらに、442条1項は「連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する」と規定していますので、仮に、乙が債権者に対し60万円の弁済をした場合においても、乙は甲及び丙に対してそれぞれ20万円ずつ求償することができることとなります。