私は不動産賃貸業を営んでおり、主に、アパート経営をしています。入居者には連帯保証人をつけてもらっていますが、民法改正以降の賃貸借契約の締結に関し、連帯保証契約について注意すべき点はありますか。

 個人の方に連帯保証人になっていただく場合には保証債務について極度額を定める必要があります。また、その極度額は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額の全部に係る極度額である必要があり、そのことを明示しておくべきだと思われます。

 なお、極度額の定めは保証人が負担する保証債務の範囲の全部を対象とし、その上限の金額が一義的に明確でなければならず、かかる方式によらない元本の極度額のみの定めは(旧)465条の2第1項の極度額の定めには当たらないものと解するのが相当であるとした判例(熊本地裁平成21年11月24日判決(判時2085号124頁)があります。

 極度額をいくらにすべきかは法令上の制限はありません。もちろん、極度額を無限とすることはできないものと考えられますが、あまり高額な極度額ですと連帯保証人となることを躊躇することになるでしょう。したがって、万が一、主債務者の賃料未払いや明渡債務不履行等が生じた場合に想定される請求額を考慮して適切妥当な金額を検討して極度額を定めるべきでしょう。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立