【資料46】相隣関係規定等の見直し

第1 隣地使用権の見直し
民法第209条第1項の規律を次のように改めることで、どうか。
① 土地の所有者は、次に掲げる目的のために必要な範囲内で、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】に対して、隣地の使用の承諾を求めることができる。ただし、隣地上の住家への立入りについての承諾を求めることはできない。
a 境界又はその付近における障壁又は建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
b 後記第2の規律に基づいてする越境した枝の切除
c 境界標の調査又は境界を確定するための測量
② 土地の所有者は、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】に対し、①の各号に掲げる目的のため必要な範囲内で隣地を使用させるよう催告をした場合において、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】が、相当の期間内に土地の所有者に対して確答をしないときは、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】の承諾を得ることなく、隣地を使用することができる。
③ 土地の所有者は、著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるときは、①の各号に掲げる目的のために必要な範囲内で【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】の承諾を得ることなく、隣地を使用することができる。
(注1)本文②の催告について、隣地の使用目的、場所、方法及び時期が特定されていなければ、有効に催告することはできないことを前提としている。
(注2)隣地が共有地である場合等における隣地使用の在り方に関しては、本文①における請求の相手方の在り方と併せて、引き続き検討する。
(補足説明)
1 請求の相手方について
第14回会議においては、隣地の占有者と隣地の所有者が別であるケースを念頭に、隣地を使用するためには、隣地の占有者と隣地の所有者の承諾も得なければならず、承諾を求めることができる相手方には、隣地の占有者だけでなく、隣地の所有者も加えるべきではないかとの指摘があった。
第14回会議での議論を踏まえた上で改めて検討をすると、隣地の占有者(ここでは直接隣地を使用している者を指し、賃借人等を通じて間接的に占有する者を含まない。)と隣地の所有者が別であるケースに関する対応方法としては、次の二つの考え方があり得ると思われる。
① 隣地の使用は、隣地の占有者と所有者の権利の両方を侵害するものである(権原のない者が隣地を占有しているケースでは、占有者は占有保持の訴えを提起することができ、占有をしていない所有者も、所有権に基づく妨害排除請求をすることができる。)から、隣地使用権に基づく隣地の使用に当たっては、隣地の占有者と所有者の両方の承諾を得なければならず、承諾を求めるべき相手方もその両者とすべきであるとの見解
② 隣地の使用は、隣地の占有者と所有者の権利の両方を侵害するものであるが、占有をしていない所有者が受ける不利益はそれほど大きくなく、相隣関係にある所有者として一定の範囲による不利益は当然に甘受すべきであるから、隣地使用権に基づく隣地の使用に当たっては、隣地の占有者の承諾を得れば足り、承諾を求めるべき相手方は占有者のみであるとの見解
現行民法第209条の解釈に関し、学説では、請求の相手方は、現に土地を使用している者(土地所有者、地上権者、賃借人など)であるとするのが一般的であると思われるが、この考え方は、前記②の見解に近いと考えられる。
また、以上のケースとは別に、所有者が存在するものの、当該土地を実際に支配する者がおらず、占有者がいないケースに、上記の見解をどのように当てはめるのかも問題になり得ると思われる(いずれの見解からも、観念的には所有者が占有しているものとして所有者に承諾を求めるべきことになるとも考えられる。)。
加えて、占有者を承諾の相手方とした場合に、その占有が適法なものであることを求めるべきかが問題となるが、占有の訴え自体は占有権原の有無に関係なく認められることや、権原の有無は実際上判断が困難であるケースもあることからすると、占有権原の有無にかかわらず、一律に占有者の承諾を得る必要があるとすることも考えられる。
以上を踏まえ、隣地使用についての承諾を求めることができる相手方について、隣地の所有者及び隣地の占有者とする案と、隣地の占有者のみとする案を提示している。なお、隣地の占有者は、ここでは直接隣地を使用している者を指し、賃借人等を通じて間接的に占有する者を含まないことを前提としており、これを端的に示すためには、請求の相手方については「隣地の使用者」とすることも考えられる。

2 住家への立入りについて
部会資料32(第1の1①)では、住家に立ち入ることを内容とする隣地使用は、境界標の調査を念頭に、土地所有者による隣地の使用のために特に必要があると認めるときに限り承諾を求めることができる規律を設けることを取り上げていた。第14回会議においては、これに賛成する意見があった一方で、限定的な場面とはいえ住家へ立ち入ることの承諾を求めることができるとする規律を設けることで、例えば、交渉の場面において隣地所有者に対して不当に住家への立入りを要求する事態を生じさせるおそれがあるなど、規律を設けることによって生ずる影響を踏まえてその是非について再検討すべきである旨の意見があった。
そこで改めて検討すると、現行民法第209条第1項ただし書の解釈として、隣人の平穏な生活やプライバシーの保護の観点から、隣人の住家に立ち入るためには、必ずその隣人の承諾が必要であり、隣人はこれを自由に拒否することができ、判決をもってこの承諾に代えることはできないと解する見解が多数説であり、この立場を前提に、建物の屋上部分や非常階段などについては「住家」に当たらないとして、その立入りの承諾請求を認めた裁判例があるなど、「住家」の範囲は限定的に解釈されている。このような現行法の解釈運用を前提とすると、境界標の調査等が困難な場合であっても、隣地上の建物の屋上や非常階段等、隣人の生活の平穏を害さない部分の使用によって、その目的を達することができるケースも多いと思われる。
そうすると、本文①aからcまでの目的のために住家に立ち入る必要があるケースは極めて例外的であり、このような例外的場面を想定して規律を設けることによって、不当に住家の使用の承諾を求められる事態が生ずるなど、現実の生活において混乱を生じさせるおそれがあることに鑑みれば、新たな規律を設けることは相当でないとも考えられる。
そこで、本資料では、現行法の規律を基本的に維持することを提案している。

3 本文②について
部会資料32(第1の1②)では、隣地所有者等が隣地使用について異議を述べない等の一定の要件のもとで、隣地所有者等の承諾等が得られなくても土地所有者の隣地使用を認める規律を設けることを提案しており、このような規律を設けることについては、懸念を示す意見もあったものの、賛成する意見もあった。そこで、本文②で基本的に同様の規律を設けることを提案している。
4 「著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるとき」(本文③)について部会資料32(第1の1②c)では、土地所有者が、急迫の事情があるときには、所定の目的のために必要な範囲内で、隣地所有者等の承諾を得ることなく、隣地を使用することができる規律を設けることを提案していた。
改めて検討すると、このような場合には、現行法上、隣地使用の承諾を命じる仮処分又は立入妨害禁止の仮処分(民事保全法第23条第2項)を得ることにより対処することになると考えられるのであり、単に急迫の事情があるというだけで【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】の承諾を得ることなく隣地使用を許すのは相当でないと考えられる。
そこで、本文③においては、著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるときは、本文①の各号に掲げる目的のために必要な範囲内で、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】の承諾を得ることなく、隣地を使用することができるとする規律を設けることを提案している。
5 隣地の所有者等を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合について
部会資料32(第1の1②)では、土地所有者が、隣地所有者等を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合において、一定の事項を公告したにもかかわらず、相当の期間内に異議がないときに、隣地を使用することができる規律を設けることを提案していたが、いずれにしても、著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるときは、①の各号に掲げる目的のために必要な範囲内で、【隣地の所有者及び隣地の占有者】【隣地の占有者】の承諾を得ることなく、隣地を使用することができることとしており、所有者等が不明なケースで急を要する際には、これで対応することが考えられるため、これと別には取り上げていない。
なお、民法第98条第1項は、「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。」と定めているところ、法文上は、「意思表示」とあるが、これに限らず、準法律行為(意思通知、観念の通知等)についても類推適用されるものと考えられているから、これを利用して、本文②の催告をすることは否定されない。
6 本文②の催告に係る隣地使用態様の特定について(注1)
部会資料32(第1の1②)では、土地所有者は、隣地所有者等に対して、隣地の使用目的、場所、方法及び時期を通知したにもかかわらず、相当の期間内に異議がないときに、隣地を使用することができる旨の規律を設けることを提案していたが、本文②の規律の表現を改めた上で、(注1)において、隣地の使用目的、場所、方法及び時期が特定されていなければ、有効に催告することはできないことを前提としている旨を注記している。
7 隣地が共有地である場合等における隣地使用について(注2)
(1) (注2)について
部会資料32(第1の2)では、隣地所有者等の隣地の占有権原が数人の共有又は準共有に属する場合において、その共有持分又は準共有持分の価格に従い、その過半数の承諾を得たときに、隣地を使用することができる規律を設けることを提案していた。
隣地が共有地である場合等における隣地使用に関して、誰に対して承諾を求めるべきかは、本文①と併せて検討する必要があるため、(注2)において、引き続き検討する旨を注記している。
(2) 区分所有建物の敷地の使用について
第14回会議においては、隣地が区分所有建物の敷地である場合における隣地使用請求の在り方について、どのように考えるべきかという指摘があったが、土地所有者は、基本的には、区分所有者の集会における区分所有者及び議決権の各過半数による決議(建物の区分所有等に関する法律第21条、第18条第1項、第39条第1項)を得たり、区分所有建物の管理規約において敷地の管理については管理者が決定する旨の定めがある場合には、その管理者の承諾を得たりして、敷地を使用することになると考えられる(同法第21条、第18条第2項、第26条第1項)。
第2 越境した枝の切除等
1 越境した枝の切除の規律について
(1) 越境した枝の切除に関する規律(民法第233条第1項)を次のように改めることで、どうか。
① 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、土地所有者は、その竹木の所有者(竹木が数人の共有に属する場合にあっては、共有者の一人。②aにおいて同じ。)に、その枝を切除させることができる。
② 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、土地所有者は、次に掲げるときは、自らその枝を切り取ることができる。
a 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除されないとき。
b 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
c 著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるとき。
(補足説明)
1 基本的な考え方は、以下で述べる点を除き、部会資料32(第2の1(1))と同様である。なお、本文②aにおいても、隣地使用権における催告(前記第1の③)と同様に、公示に関する手続(公示による意思表示。民法第98条)を利用して催告をすることは否定されないが、竹木の所有者又はその所在が不明である場合には、公示に関する手続を経ずに、本文②bに基づいて枝の切取りが可能である点で隣地使用権とは異なる。土地所有者が、竹木所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合には、通常は竹木所有者による枝の切除を期待することができないこと、また、竹木の枝は、その性質上、いずれまた伸びることが予想されることに鑑みれば、土地所有者による直接の切除を認める必要性があると考えられることから、本文②bの規律を特に設けることとしている。
2 竹木が数人の共有に属する場合について
部会資料32(第2の1(1)②d)では、土地所有者は、竹木が共有されている場合において、その持分の価格の過半数を有する者から承諾を得たときには、自らその枝を切り取ることができる規律を設けることを提案していたが、第14回会議において、竹木が共有である場合には、共有者の一人に切除させることができる旨の規律を設けるべきである旨の意見があった。
改めて検討すると、竹木が共有である場合には、土地所有者に、竹木共有者を探索した上で、竹木共有者に対する枝の切除請求訴訟を提起して、請求認容判決を得た上で、これを債務名義として強制執行を申し立てなくてはならないとすると、土地所有者は越境した竹木の枝の切除という事柄の性質に見合わない時間や労力を費やすこととなり、土地の利用を阻害する要因となり得ることに問題があった。

そこで、端的に、竹木が数人の共有に属する場合にあっては、共有者の一人にその枝を切除させることができる(すなわち、強制執行手続の実施について他の共有者の同意が不要である)とする規律を設けることが適切であると考えられることから、このような規律を設けることを提案している。
3 「著しい損害又は急迫の危険を避けるため必要があるとき」(②c)について
本文第1の補足説明4と同様の理由から、部会資料32(第2の1(1)②c)から表現を改めた。
(2) 竹木の枝の切除及び根の切取りの費用について
竹木の枝の切除及び根の切取りの費用についての特別の規律は、設けないものとすることで、どうか。
(補足説明)
部会資料32(第2の1(2))では、竹木の枝の切除及び根の切取りの費用の規律を設けることについて取り上げていたが、第14回会議において、このような費用については新たな規律を設けるべきでないという意見や、現行法のもとで、枝や根の越境について通常は不法行為が成立し、損害賠償請求権が発生することなどを踏まえると、特に規律を設けなくても、切除費用は通常竹木所有者の負担となると考えられるため、あえて規律を設けないという考え方もあるとの意見があった。これらの議論を踏まえて、本資料では、この論点について特別の規律を設けないこととしている。
2 越境した枝から落下した果実
越境した枝から落下した果実についての特別の規律は、設けないものとすることで、どうか。
(補足説明)
部会資料32(第2の2)では、土地の所有者が、越境した枝から自己の土地に落下した果実を処分することができるとする規律を設けることを取り上げていたが、第14回会議において、越境した果実について、その処分権をその土地の所有者に与える規律を正当化することは難しいとの意見があった。これらの議論を踏まえて、本資料では、この論点について特別の規律を設けないこととしている。
第3 導管等設置権及び導管等使用権
1 導管等設置権及び導管等使用権の内容
相隣関係上の権利として、次のような導管等設置権及び導管等使用権の規律を設けることで、どうか。
① 他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ、電気、ガス若しくは水道水の供給又は下水道の利用その他これらに類する継続的給付(以下「継続的給付」という。)を受けることができない土地の所有者は、継続的給付を受けるために、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することについて、他の土地又はその設備(以下「他の土地等」という。)の所有者に対して、承諾を求めることができる。
② 継続的給付を受けることができない土地の所有者は、他の土地等が数人の共有に属する場合には、各共有者の持分の価格に従い、その過半数を有する共有者から承諾を得れば、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
③ 継続的給付を受けることができない土地の所有者は、他の土地等の所有者に対し、継続的給付を受けるために、相当の期間を定めて、他の土地に自己の設備を設置させ、又は設備を使用させるよう催告をした場合において、他の土地等の所有者が、相当の期間内に継続的給付を受けることができない土地の所有者に対して確答しないときは、他の土地等の所有者の承諾を得ないで、他の土地に設備を設置し、又は設備を使用することができる。
④ ①から③までの規定に基づいて、他の土地に設備を設置し、又は設備を使用する場合には、その設備の設置場所又は使用方法は、継続的給付を受けるために必要であり、かつ、他の土地等のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
(注1)導管等設置権及び導管等使用権が認められる場合に、設備を設置又は使用する工事のために隣地を使用する必要があるときは、その使用も認められることを前提としているが、その手続については、本文第1で提案している隣地使用権の要件を参考に引き続き検討する。
(注2)他の土地等の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合における本文③の催告については、民法第98条(公示による意思表示)が類推適用されることを前提としている。
(注3)本文③の催告について、他の土地における設備の設置場所又は他人が所有する設備の使用方法が特定されていなければ、有効に催告することはできないことを前提としている。
(補足説明)
1 部会資料32(第3の1)と、以下に述べる点を除き、基本的に同じである。第14回会議では、特段の反対意見はなかった。
2 隣地の使用について(注1)
部会資料32(第3の1(注))では、導管等設置権等と隣地使用権の規律との関係について注記していたが、導管等設置権等と隣地使用権とでは問題となる利益状況が異なることも考えられ、その隣地使用権を認める際に、誰に対して承諾等を求めることになるのかについては、本文第1の規律の検討を踏まえて引き続き検討する必要がある。
3 他の土地等の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合における本文③の催告について(注2)
部会資料32(第3の1②)では、土地所有者が、他の土地等の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合において、所定の公告をしたにもかかわらず、相当の期間内に異議がないときに、他の土地等を使用することができる規律を設けることを提案していた。
もっとも、民法第98条(公示による意思表示)は、準法律行為(意思通知、観念の通知等)についても類推適用されることを踏まえると、部会資料32(第3の1②b)のような規律を設ける必要性は高くないと考えられることから、本文③の催告について、民法第98条が類推適用されることを前提として(注2)、このような規律を設けることは提案していない。
4 本文③の催告に係る設備の設置場所等の特定について(注3)
本文③において、部会資料32(第3の1②)の規律の表現を改めた上で、(注3)において、本文③の催告について、他の土地における設備の設置場所又は他人が所有する設備の使用方法が特定されていなければ、有効に催告することはできないことを前提としている旨を注記している。
2 導管等の設置場所又は使用方法の変更
導管等の設置場所又は使用方法の変更に関し、次のような規律を設けることで、どうか。
継続的給付を受けることができない土地の所有者又は他の土地等の所有者は、土地の使用用途の変更、付近の土地の使用状況の変化その他の事情の変更により、継続的給付を受けるために他の土地に設置された設備の設置場所又は他人が所有する設備の使用方法を変更する必要があるときは、他方に対して、設備の設置場所又は設備の使用方法を変更することを求めることができる。
(注1)本文2の規律に基づく設備の設置場所又は設備の使用方法の変更について、本文1③と同様の規律は設けないことを前提としている。
(注2)本文2の規律に基づく変更後の設備の設置場所又は使用方法については、本文1④の規律を準用することを前提としている。
(補足説明)
1 部会資料32(第3の2及び(注))と、基本的に同じである。第14回会議では、特段の反対意見はなかった。
2 変更後の導管等の設置場所又は使用方法の特定について(注2)
本文2のような規律を設ける場合に、変更後の設備の設置場所又は使用方法を特定する必要があると考えられるところ、その設置場所又は設置方法についても、本文1④と同様に、継続的給付を受けるために必要であり、かつ、他の土地等のために損害が最も少ないものとすることが妥当であると考えられることから、その旨を(注2)に注記している。
3 償金
償金に関し、次のような規律を設けることで、どうか。
① 本文1の規律に基づいて、他の土地に設備を設置し又は他人が所有する設備を使用する者は、他の土地等の損害に対して償金を支払わなければならない。
② 本文2の規律に基づいて、継続的給付を受けることができない土地の所有者又は他の土地等の所有者が、設備の設置場所又は設備の使用方法を変更する際に相手方に生じた損害についても、①と同様とする。
③ 土地の分割又は一部譲渡によって、他の土地に設備を設置し又は他人が所有する設備を使用しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じた場合には、その土地の所有者は、分割者又は譲渡者の所有地のみに設備を設置し、又は使用することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
(補足説明)
部会資料32(第3の3)と、基本的に同じである。第14回会議では、特段の反対意見はなかった。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立