父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。遺産分割協議の結果、Aの遺産のうち、AのGに対する1000万円の貸金債権は私が相続することになりました。そのことについて、Gに対し遺産分割協議書を示して通知をしました。

 XはKの差し押さえに対抗できません。

 民法467条2項は、「通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない」としています。

 Gに対して遺産分割協議書の内容を明らかにして通知をしたXは、Gに対しては1000万円の貸金債権を対抗できますが、確定日付のある証書によらない場合には債務者以外の第三者であるKには法定相続分を超える部分の取得は対抗できません。

 そこで、Xとしては、Gに対して確定日付のある証書によって①遺産分割協議書の内容を明らかにして、②確定日付のある証書によって通知することにより、Gにも、Kにも、1000万円の貸金債権を対抗できることになります。

 なお、第三者対抗要件については,対抗要件具備の先後関係によってその優劣を決することになりますので、これが具備された時点は明確である必要があります。

 したがって、遺産分割協議書は、通知の事前あるいは遅くとも通知と同時に示すことを要し、それまでに遺産分割協議書等の交付がなければ,通知の効力は認められないことになります。実務的には、内容証明郵便により通知をすると同時に別便の書留郵便等で遺産分割協議書の写しを送付するなどの対応が必要であると思われます。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立