法定相続情報一覧図の写しの交付

(ア)一覧図の内容の確認

 登記官は、申出人から提供された申出書の添付書面によって法定相続情報の内容を確認し、その内容と法定相続情報一覧図に記載された法定相続情報の内容とが合致していることを確認したときは、一覧図の写しを交付します(不動産登記法施行規則247条5項前段)。

 また、一覧図の写しには、申出に係る登記所に保管された一覧図の写しである旨の認証文が付され、作成の年月日および登記官の職氏名が記載され、職印が押印されます(不動産登記法施行規則247条5項後段)。

 添付された法定相続情報一覧図の記載に、その他の添付書面から確認した法定相続情報の内容と合致していないなどの誤りや遺漏がある場合、登記官は、申出人または代理人にその内容を伝え、速やかに当該法定相続情報一覧図の誤り等を訂正させ、清書された正しい法定相続情報一覧図の添付を求めることとなります。提供された申出書に誤りがある場合も、同様です。

 なお、一覧図の訂正については、何字削除何字加入などのいわゆる「見え消し」の方法による訂正は認められず、新たに作成し直すか、修正テープ等により修正する必要があります。たとえば、次の事項の記載があった場合には、訂正が求めることになります。

① 相続人について法定相続分の併記があった場合

② 被相続人の子のうちの一人が被相続人よりも先に死亡しており、かつ当該子に代襲者がいない場合に、一覧図に当該子の氏名、死亡年月日等の記載があった場合(相続人について、相続欠格や相続放棄との併記があった場合にこれらの事由を証する書面が添付されている場合を含む)

③ 廃除された推定相続人の氏名等が記載され、何年何月何日に廃除された旨の併記があった場合

 一方、次の事項の記載については、訂正を求められることはありません。

① 続柄について、「妻」等を「配偶者」として記載された場合

② 続柄について、「長男」等を「子」として記載された場合

③ 相続人である子について、「嫡出子」や「嫡出でない子」との併記があった場合

④ 兄弟姉妹が相続人であって、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹と父母の双方を同じくする兄弟姉妹がいる場合にその旨を併記した場合

⑤ 被代襲者の記載について、その者の氏名が記載されている場合

(イ)一覧図の写しの作成

 一覧図の写しは、偽造防止措置が施された専用紙を用いて作成されます。また、一覧図には「これは、平成○年○月○日に申出のあった当局保管に係る法定相続情報一覧図の写しである」との認証文が付記され、登記官の職氏名が「何法務局(何地方法務局)何支局(何出張所)登記官 何某」と記載されます。さらに、「本書面は、提出された戸除籍謄本等の記載に基づくものである。相続放棄に関しては、本書面に記載されない。また、相続手続以外に利用することはできない」との注意事項も付記されます。

 なお、法定相続情報一覧図の誤り等を補完させた場合は、その補完がされた日が申出のあった日とみなされます。同様に、不足している添付書面を補完させた場合は、当該添付書面の発行がいつであるかにかかわらず、不足している添付書面が補完された日が申出のあった日とみなされます。

(ウ)一覧図の写しの交付および添付書面の返却

 登記官は、一覧図の写しを交付するときは、不動産登記法施行規則247条3項2号から5号までおよび同条4項に規定する添付書面を申出人に返却することとなります(不動産登記法施行規則247条6項)。この一覧図の写しの交付および添付書面の返却は、次のとおり取り扱われます。

ア 登記所窓口における交付等の取扱い

 窓口において一覧図の写しの交付および添付書面の返却を受けるときは、その交付および返却を受ける者は、申出書の申出人の表示欄または代理人の表示欄に押印したものと同一の印を申出書の「受取」欄に押印し、一覧図の写しの交付および添付書面の返却をすることができる者であることを確認します。

 なお、一覧図の写しの交付および添付書面の返却を受ける者が、印鑑を忘失等して押印することができない場合は、申出人の氏名および住所を証する書面(不動産登記法施行規則247条3項6号)または代理人の権限を証する書面(不動産登記法施行規則247条3項7号)の規定により申出書に添付した書面と同一のものの提示をすることにより代替することもできますが、この場合は申出書の「受取」欄に、一覧図の写しの交付および添付書面の返却を受ける者の署名をする必要があります。

 また、司法書士等の補助者が印鑑を持参して一覧図の写しおよび添付書面の返却を受け取るた場合は、使者として取り扱われます。そのため、補助者に係る補助者証の提示は必要ありません。

イ 送付による交付等の取扱い

 一覧図の写しの交付および添付書面の返却は、送付の方法によりすることもできます(不動産登記法施行規則248条)。この方法によるときは、申出書に記載された当該申出人または代理人の住所に宛てて送付され、申出書の所定の欄に一覧図の写しおよび添付書面を送付した旨が記載されます。

ウ 申出人または代理人が受け取らない場合

 一覧図の写しまたは添付書面を申出人または代理人が受け取らない場合は、申出があった日から起算して3カ月を経過した後、登記官はこれを廃棄することができます。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立