法制審議会民法・不動産登記法部会第22回会議議事録

 それでは,先に進むことにいたします。同じく部会資料52の5ページから第3として,所有者不明土地管理命令等についてお諮りをしているものでございます。補足説明も含めますと,部会資料の12ページの前半のところまでその話が続いてまいります。所有者不明土地管理命令等と「等」が入っている理由は,所有者不明建物管理命令も含まれているからでございます。建物についての御議論を取り立てて小分けにしてお願いする必要はないと感じられますから,所有者不明建物管理命令を含む第3の所有者不明土地管理命令等について御意見を承ることにいたします。どうぞ御随意に御発言を下さい。
○蓑毛幹事 範囲は12ページ前半までで,管理不全土地管理命令についての意見はその後でしょうか。
○山野目部会長 その後でございます。
○蓑毛幹事 分かりました。
  第3の1の所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令について,日弁連のワーキンググループでは特段大きな反対はありませんでした。3点,確認とお願いがあります。
  1点目は,部会資料5ページ(1)の③で,一旦所有者不明土地管理命令が発令され,取り消された場合において,再度発令されることがあると。このような発令がなされる場合として,部会資料6ページでは,供託金の還付請求の相手が特定されないために,所有者不明土地管理人を選任する必要があるということが書かれているのですが,なぜ,このような場合に所有者不明土地管理人を選任しなければならないかが分かりにくいと思いますので,説明を補足していただければと思います。
  それから,2点目ですが,9ページの所有者不明土地管理人の義務についてですが,前提として(5)等で,裁判所は所有者不明土地管理人の選任・解任ができ,辞任についての判断もできるとされており,つまり,所有者不明土地管理人は裁判所の監督下に置かれるということだと思います。そこで,裁判所の監督を実効あらしめるため,裁判所は,所有者不明土地管理人に対し,報告を求めることができる旨の規定を設けてはどうか,という意見がありました。
  それから,11ページ(8)の所有者不明建物管理命令について,内容に特段異存はありませんが,前回の部会でも申し上げたとおり,所有者不明土地と所有者不明建物にそれぞれ管理人を選任しようとしたときにおいて,土地と建物の所有者が違う場合に何か注意すべき点がないのかであるとか,所有者不明建物について,どういった場合に取り壊すという判断にまで至るのか,そういったことについて補足説明等で説明をして欲しいという意見がありました。
○山野目部会長 ありがとうございます。3点にわたっておっしゃっていただいた中には,質問ないし事務当局への要望が含まれていたと受け止めます。お願いいたします。
○大谷幹事 5ページの(1)③の趣旨についてお尋ねがございました。所有者不明土地管理命令が出される場合には,土地の所有者が所在不明であるという場合と,土地の所有者が特定できないという場合,両方があり得るところです。所有者不明土地管理命令が出されて,管理人が,例えば裁判所の許可を得て土地を売却して,その売得金を供託したというときに,土地の所有者が所在不明である場合には,その所有者が出てきたときに,自分が権利者であるということで供託金の還付を受けることも比較的容易だろうと考えられる一方で,特定できない所有者,自分が所有者であるということを後で確認を求めてくるという場合には,誰を相手方として供託金の還付請求権の確認を求めればいいのかという問題が出てまいります。所有者が全く特定できないという場合であると,民事訴訟の当事者が特定できないということになりかねないところから,そういうことを避けるために管理人の選任を可能にしたという趣旨でございます。
○山野目部会長 蓑毛幹事,いかがでしょうか。
○蓑毛幹事 よく分かりました。ありがとうございました。
○山野目部会長 ありがとうございます。蓑毛幹事からお尋ねがあった3点のうち,今の1点目については大谷幹事から説明を差し上げました。
  御参考までに御案内しますと,この③は,表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律19条5項においても同様の趣旨の規律を置いているところでございまして,その見合いもあって,ここに設けることを提案しているところでございます。趣旨,内容は大谷幹事が申し上げたとおりでございまして,現実に運用していくとき,これが度々難しい問題を引き起こす局面かというと,そうではないかもしれませんけれども,規律を置いておくという趣旨で,部会資料の中に含めてございます。
  それから,裁判所の監督の在り方について,9ページの管理人の義務の履践を適切ならしめることや,管理人の選解任の在り方と関連させて,蓑毛幹事から問題提起を頂いたところであります。御指摘はごもっともである側面がございますから,改めて,裁判所がこの種の管理人ないしそれに類似のものを選任する際の監督の在り方について,選解任のところの規律のみを置くか,それとも監督の規律も併せて置くかかといったところを精査した上で,考えていく必要があるであろうと感じられるところでございます。
  監督の規定を置いて報告聴取とかということを入れると,裁判所の皆さんは執務の仕方が真面目ですから,いつこういう報告を取ったというのを全部つづっておかなければいけないことになります。面的,線的に監督が続いていなくてはいけないという規律にしたときの裁判所のストレスと,選解任事由があるかないかが時間的にポイントで問われたときに,そこを適正に権限を行使すればよいというふうな扱いにするのとでは,見掛けは同じようなことであっても,種々,運用の点も含めて,考え込まなければならない側面があります。蓑毛幹事から御指摘を頂いたところでありますから,改めて従前の類似法制場面との比較検討を踏まえて,検討を続けてまいりたいと考えます。
○宮﨑関係官 今御指摘いただいた報告聴取の規律ですが,これは実は既に前の部会資料の中で取り扱っておりまして,部会資料の33になるのですけれども,具体的に言いますと18ページ目のところで,補足説明の中で取り扱ってございます。報告聴取の規律については,おっしゃったような御指摘もあり得ようかと思いますけれども,所有者不明土地の管理命令については,一定の場合には裁判所が確認を求めることが想定され,このこと自体は規律を設けるまでも明らかであるというようなことですとか,遺言執行者などほかの特定の財産のみの管理を前提とする類型の財産管理制度についても,報告聴取の規律などを設けられておりませんので,そういうこととのバランスなどを考えて,今回のような,特段それについては規律を設けないというふうな御提案を差し上げているところです。このときの部会でも,特段ここについては御異論なかったのかなとは認識しております。
○山野目部会長 蓑毛幹事におかれては,引き続き今のような案内を弁護士会の先生方にお伝えいただいて,また当方でも検討いたしますけれども,御検討いただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
  引き続き承ります。いかがでしょうか。
○沖野委員 すみません,これも細部で申し訳ないのですけれども,10ページの報酬等について確認をさせていただきたいと思います。
  ①,②では,恐らく三つのことが書かれていると思われまして,まず②の方は費用・報酬が所有者負担であるということ,したがって管理する対象の財産以外の所有者の財産も引当てにできるということと思います。それから,①の方では,管理下にある所有者不明土地等から直ちに一定のものを受けられるという点,自分の管理にある財産についてそこから出せるか,特に報酬などは出せるかという問題が,利益相反の話としてありますので,それはできることを示すものです。三つ目が,それとともに費用の前払や報酬についての額は裁判所が定めるという,この3点が書かれていると思われます。
  そうしたときに,お伺いしたいことというのは,これも多分これまでに議論があったのだろうと思うのですが,フォローしいていなかったものですので,お伺いしたいのですが,費用,報酬と出ると,常に出るのが損害,管理者が過失なくして被った損害というものの填補を受けられるかという点ですが,これは受けられるということなのか,受けられないということなのか。受けられるとしたら,費用に含んでいるということなのかということを確認させていただきたいと思います。場合によっては,明確にするならば,書き出した方がいいということも考えられるものですから,御質問させていただきます。
  それから,2点目は,所有者不明土地等から受けることができるという場合に,今のような損害の話も入るかということが併せて出てくるのですけれども,気になっておりますのは,費用の前払に限っている点です。費用の前払というのは多分,自分の管理下にあると,必ずしも前払という形で取り分ける必要もない局面が出てくるかと思いますけれども,信託の場合なども同じような問題が出てくるかと思いますけれども,それは措きまして,前払に代えて自分の固有財産から立て替えるという方法もあり得ると思われます。一旦立て替えて,費用の償還を受けるという局面が想定されます。ところが,ここでは所有者不明土地等,つまり管理下にある財産から直ちに受けることができるものというその対象は,費用の前払と報酬だけになっていまして,費用の償還が入っておりません。これはどういう趣旨なのかということで,もし利益相反的な要素もあり,管理者が管理下の財産からそれらを受けることができるのだということを明示するのであれば,やはりそれも書いた方がいいのではないかと思われるものですから,趣旨についてお伺いしたいと思います。
○宮﨑関係官 1点目に頂いた損害についてなのですけれども,所有者不明土地管理人に管理の過程で発生した損害のようなことをイメージしておられるのかなと。
○沖野委員 過失なくして受けた損害について,委任ですとか,あるいは過失なくして受けた損害に限りませんが信託の受託者などでも規律がありますので,そういうことを考えています。
○宮﨑関係官 なるほどですね。場合によってはこの費用の中に入るというふうな解釈もあるのかなとも思っております。今回のこの規律というのは,ほかの類型の管理人などでも置かれている類似の規律の書きぶりを参考にしておりますが,そこでの解釈なども参考になるのかなと思っております。
  もう1点の,管理人が立て替えた場合について,所有者不明土地等の負担にできるのかという御指摘を頂いたかと思うのですけれども,立て替えた分については,少なくともこの②の規定で,特に前払に限らず,必要な費用については所有者不明土地等の所有者の負担とするというふうな規定を置いていますので,こちらで,その立て替えた分についても所有者の財産に負担させることができるのではないかとは考えておりました。
○沖野委員 よろしいでしょうか。そうすると,1点目ははっきりしないということだと確認をしていただいた方がいいのかなと思います。事務管理と委任とで違うかなどの話がありますし,そういう問題もあるかもしれませんので,それを踏まえて,この管理人の場合はどうかということを,少し横断的な検討も含めて明らかにしていただければいいのではないかと思います。規定上,書くのかどうかというのは,あるいはほかの制度の書きぶりとも関係してくるかと思いますので。
  2点目にお答えいただいたことは,所有者の負担とするのはもう明らかというか,負担にするので,そして,その財産から取るためには,もし所有者不明土地等の財産から取るためには,やはり本来の方法である強制執行とかそういうことを掛けていくために,判決を取ってということから行くのだと思うのです。それが言わば自力救済的に,自分の管理下にあるところから取れるというのはどういう場合かというのが,他人のために財産管理を委ねられている者がそれをできるのかという問題ですので,②に含まれているので①は関係ないということには多分ならないと思いますので,①の趣旨がどういうことなのか,裁判所が定めるものに限っている,その趣旨はどうかということかと思います。場面がないということなのか,特にこのときだけということなのか。ただ,規定はあった方がいいのではないかと思うものですから,御検討いただければと思います。
○山野目部会長 事務管理や委任に関して置かれている類似局面の規律に関わる発想や,実際の法文の文言の書き方,それから,不在者財産管理や相続財産管理に関する規律についての同様局面の書き方で,もしかすると従来の例において不ぞろいがあるかもしれません。ただいま沖野委員から御注意を頂きましたから,従来のものを精査した上で,ここの太文字の部分,すなわち法文にする想定の個所で何かを考え込んでいくか,法制上の考慮も含めて,そうはしないけれども,説明等において明らかにするよう考え方を整理するかということを再び検討してみることにいたします。ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
  そうしましたならば,所有者不明土地管理命令等につきましては,本日段階の御意見を頂いたと受け止めるということにいたします。
  先に進みます。12ページから後に,管理不全土地管理命令についての御議論をお願いする用意をしているところでございます。それから,管理不全建物管理命令についてのお話もここに含まれておりまして,部会資料の最後のページでございますけれども,これも取り立てて小分けにして御議論をお願いする必要はないと考えますから,この際,管理不全建物管理命令を含む広い意味での管理不全土地管理命令について,委員,幹事の皆様からの御意見を承るということにいたします。どうぞ御随意に御発言を下さい。
○蓑毛幹事 管理不全土地管理命令と管理不全建物管理命令について,日弁連のワーキンググループは基本的に賛成で,特段大きな反対はありませんでした。その上で,4点,確認ないし質問をさせていただければと思います。
  まず1点目ですが,12ページの(1)管理不全土地管理命令で,(注)に,裁判所の手続に関しては所要の規定を整備するということが書いてあります。この点に関連して,これまでの,例えば部会資料50では(注)で,この裁判をするためには,対象である土地の所有者の陳述を聴かなければならない旨の規律,あるいは裁判に対する即時抗告に関する規律を設けるということ書かれていたのですが,今回落ちています。恐らく,書き漏らしだと思いますが,この点の確認が1点目です。
  2点目は,これまで申し上げていることの繰り返しになりますが,13ページの補足説明で,相当性の要件は別途掲げることはしないということが書かれています。恐らく法制上の問題であろうと理解していますが,この管理制度の発令に当たっては,必要性とは別に,所有者が対象の土地・建物を実際に利用しているか否か,あるいは,所有者の管理人選任に対する意見,そういったものも勘案しながら相当性を判断するし,後に相当性がなくなった場合は管理命令が取り消されるという,ほかの管理制度にはない特徴があります。そこで,このような特徴を具体的に要件として条文に盛り込み,相当性に関する要件として定めた方がよいという意見がありました。
  3点目ですが,部会資料15ページにある,管理人が管理の妨害を受けた場合についての確認です。これは,前回の部会での議論を整理していただいてものと理解していますが,所有者が管理を妨害している場合と,占有権原のある賃借人が管理を妨害している場合,この2つの場合に分けて考え方の確認をさせていただければと思います。
  まず,所有者については,部会資料13ページに,所有者が当該土地を実際に利用しているケースにおいては,仮に管理命令が発せられたとしても,管理不全土地管理人による管理を継続することが相当でないとして取り消されるということが書いてある一方で,括弧書きで,管理人が不当な妨害を受けた場合には妨害禁止を求めることができるということが書いてあります。そこで,所有者が管理命令の対象である土地または建物を実際に利用しているケースで,管理人による管理を拒絶して妨害した場合には,それが不当な妨害だといって妨害排除が認められることになるのか,それとも,管理人による管理が相当でなくなったとして,管理命令が取り消されるのかを教えて下さい。
  次に,賃借人が管理の妨害をしているケースについての質問です。今回の制度の趣旨は,所有権者ができる範囲で管理をすることにあり,賃借権自体の管理制度ではないという説明がありました。そうすると,この管理人は,管理の妨害をする賃借人に対して何ができるのか。この管理人は,物の管理人ですので,賃貸借契約に基づく権利そのものは行使できないようにも思われます。また,所有権者として何かしようとしても,賃借人から,自分は賃借権を有していて,占有を排除されるいわれはないと主張された場合に,どのようにして管理人は賃借人の妨害を排除することができるのか,前回の部会でも同様の質問をしましたが,改めてこの点について御説明頂ければと思います。
  4点目は,大した話ではなくて,17ページの管理不全土地管理制度における供託の制度で,この制度を設けることに特段反対ではないのですが,管理不全土地管理制度の場合は,通常は土地の所有者が分かっていますので,金銭になった場合は,土地の所有者に金銭を引き渡せばいいので,供託をする必要はないようにも思われます。そこで,ここで供託の制度を設ける趣旨について教えていただければと思います。
○大谷幹事 ありがとうございます。4点御質問を頂きました。
  一つ目の形式的な,陳述聴取などの規定は手続的に入れるのですよねと,これはそのとおりでございます。前回の部会資料50で(注)でお書きしていたような規律を設ける方向としております。
  ②の相当性の要件を入れてはどうか,これも前回も議論を頂きました。相当性が必要だということについては,恐らく前回も我々の方向をそのようにお答え申し上げて,ただ,その規律の置き方として,手続的に相当性を欠いたときには取り消すというようなことがあったりし,必要性以外に相当性という文言まで必要かというと,そこまで必要はないのではないか,必要性という形で,相当であるということも読み込めるのではないかと理解をしておるところです。もちろん管理不全土地管理命令,管理不全建物管理命令独自の性質があるところでございますけれども,そのような制度の下での必要性,相当性というのは,やはり必要になってくるとは思っておりますし,相当性を欠いても発令ができるのだという意味でないことは共通の理解だと思っております。
  それから,3点目の点でございますけれども,所有者との関係で,所有者本人が土地を利用しているという場合には,これは管理命令の発令が相当でないということで管理人は選任されないということを想定しています。もっとも,例えば,当初は全然利用していないで放置をしている,陳述聴取をしても何も答えないで関心を寄せないということで管理人が選任されたけれども,その後で所有者が管理を妨害してくるというようなときはどうかということを,前回の部会資料でもお書きをしていたと思いますけれども,そういう場合には,管理人の方から所有者に対して,妨害をするなという形で差止めを求めるということも,管理権侵害という形で,あり得るのではないかと考えております。いずれにしても,当初から実際に利用していて,当初から自分で管理をしようとしている方がいる場合には,管理命令が発令されないという方向ではないかと思っております。
  それから,賃借人との関係,これも前回から御議論いただいている難しい問題だと思っております。管理不全土地管理人が付くという状態になっているということは,恐らくは所有者も関心を寄せずに,賃借人がどういう使い方をしているか,いろいろなケースがありそうですけれども,賃借人が非常に望ましくない使い方をして周りに迷惑を掛けているというような状態かと思います。その場合に,管理不全土地管理人が賃借人に対して何も言えないという結論になるのは望ましくない感じがいたしまして,何らかの形でその状態を是正できるようにするという解釈をすべきではないかと思っておりますが,大きく二つぐらい考え方に筋道がありそうな気がいたします。ひとつには,管理人が与えられる管理権自体に基づいて,土地に対して損害を与えるような行為をしている賃借人に対しては,その行為を防ぐような措置をとることができるという考え方,管理権そのものに基づくという考え方もありそうですし,その一方で,賃貸人として賃借人に対して一定の権利を持っているという場合には,管理人がその管理権に基づいて,土地の所有者に対して是正をすることを求めることができる,それを根拠として,賃借人に対して代位的な形で措置を求めていく,そういう両方の構成があり得るのかなと思っておりますけれども,これらも含めて,今後,検討してまいりたいと思いますし,その辺りについて御意見を賜れればと思います。
○山野目部会長 蓑毛幹事,お続けになることがあれば,おっしゃってください。
○蓑毛幹事 ありがとうございます。最後がよく聞き取れませんでした。所有者が賃貸人の場合には,その所有者が賃借人に対して有する権利に代位する,とおっしゃったのですか。
○大谷幹事 はい。
○蓑毛幹事 代位して管理人が行使するという法律構成が考えられるのではないかということですか。
○大谷幹事 はい。
○蓑毛幹事 分かりました。よく考えてみます。ありがとうございました。
○山野目部会長 ありがとうございます。
  松尾幹事,どうぞ。
○松尾幹事 ありがとうございます。一つ確認させていただきたい点は,この管理不全土地・建物管理人が選任されたときには,所有者不明土地・建物管理人と同じように,その土地について,あるいは建物について,選任の公告がされるかどうかです。
  既に議論が終わっておりますけれども,所有者不明土地管理人については,部会資料52の7ページの(2)の(注)で,管理人が選任されたときには,対象となるその土地又は共有持分について,所有者不明土地管理命令の嘱託の登記をしなければならないことになっています。これは所有者不明土地・建物管理人が選任されると,その者に土地・建物の管理権が専属するからということにもよるのだと思うのですけれども,その場合に限らずに,管理不全土地・建物管理人の場合にも,同じようにこの嘱託の登記がされるのかどうかという点の確認です。
  そのことと若干絡みますけれども,これも既に議論になった点ですが,部会資料52,14ページの(2)②の第三者ないしは相手方の保護要件として,この管理不全土地・建物管理人の権限外行為の場合には,第三者保護の要件として,善意かつ過失がないということを要件にしている一方で,所有者不明土地・建物管理人が権限外行為をした場合には,善意の第三者に対抗することができないということが,7ページの(2)②に記載があって,その違いは,15ページの(2)の最後の方に説明してあるように,管理不全土地・建物管理制度の場合には,その管理権限が管理人に専属するというものではないので,やはり所有者の権利の静的安全をより配慮すべきだという理由が挙げられています。しかし,私はどちらも自分の土地・建物として管理・処分するのではなく,他人の土地・建物であることを前提に管理・処分しますので,その権限の有無・範囲について第三者は確認すべきであるという意味で,善意・無過失の第三者ということでそろえるということもあり得るのかなという感じがいたしまして,それとも絡めて確認させていただければと思います。
○大谷幹事 管理不全土地管理人の場合には,選任された場合に登記を嘱託するということは考えておりませんので,その意味では所有者不明土地管理人の場合とは違う扱いになってまいります。
  今御指摘のあった,善意なのか善意無過失なのか,第三者の保護の在り方について,これも両様の考え方があり得ようかと思いますけれども,所有者不明土地管理の場合と管理不全土地管理の場合では,所有者自身の利益を保護するべき度合いが違うのではないかということで,ここでは管理不全土地管理人の方には無過失を求めるということにいたしております。
○山野目部会長 松尾幹事,お続けください。
○松尾幹事 ありがとうございます。そういう公示の上での違いがあるという点については理解いたしました。その上で,そういう点に違いがあることに直結するわけではないですけれども,所有者自身の利益を保護すべき度合いが違うことから,第三者保護要件についても違ってくるということですが,管理不全土地・建物管理人の場合にも,少し気になるのは,土地や建物の管理が不適切だという意味では所有者にも少し帰責性が高くて,その価値判断としては,第三者との利益衡量は結構難しいなと思いまして,その点で所有者不明という場合と管理不全という場合を比較したときに,なかなか第三者との利益調整の問題は難しいものがあるなと感じました。一方,他人の土地・建物として管理・処分がされる点では,いずれの場合も第三者に善意・無過失を求めても重過ぎる負担ではないように思います。
○山野目部会長 藤野委員,どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。今回,管理不全土地管理人,管理不全建物管理人の両方に規律として新たに入れられております,例えば14ページの(2)③のところですね,保存行為等を超える処分に関して,所有者が異議を述べない場合に限り,裁判所が許可をすることができるという規律について,これは管理不全土地の所有者が現に存在して明示的に争っているというような場合であれば,こういう手続を踏んだ方が当然いいだろうなと思う一方で,所有者が所在不明の土地の場合はどうなるのか,という点が気になります。今考えられている制度間の整理では,所有者の所在が不明だからといって,常に所有者不明土地管理人制度を用いなければいけないということでもなかったと思いますので,例えば管理命令を請求できる利害関係人の要件とか,あるいは疎明のやりやすさという観点から,最初から土地とか建物の所有者が分からない状態で管理不全土地建物管理制度を用いることもあると思いますし,あるいは,最初に管理命令を請求したときは所有者と連絡が取れたのだけれども,その後,行方が分からなくなって連絡できなくなったというような場合もあり得ると思います。その場合に管理人に求められる行為として特にありそうなのは,売却とかというよりは,むしろ建物を取り壊すとかそういったことではないか,と思っていますが,この場合,例えば,土地や建物の所有者が連絡が取れない状態になってしまっていたときに,これはもう所有者が積極的に異議を述べていないから,このまま裁判所と進めていいというふうな話になるのか,それとも何らかの手続を更に重ねた上でやっていくということになるのかということを,今お考えがあれば教えていただければと思います。
○大谷幹事 そのような所有者との連絡が付かないということで,管理人の方で所有者の異議を述べる気があるかどうか確認できないということであれば,異議を述べていないということになるでしょうから,その趣旨も踏まえて,裁判所の方で適切に判断をするということになろうかと思います。
○山野目部会長 よろしいですか。
○藤野委員 ありがとうございます。そういうことであれば,特に何か,途中で所有者がいなくなったときは所有者不明土地・建物管理制度に切り替える方が良い,とかという話でもないわけですね。合理的に手続の中で裁判所に判断していただけるということですね。
○大谷幹事 はい。
○藤野委員 ありがとうございます。
○大谷幹事 1点だけ,そういえば蓑毛幹事から4点目の供託の御質問というのにお答えするのを忘れておりました。すみません。
  供託の場合,御指摘のとおり,管理不全土地管理の場合には,所有者自身がいて連絡も付くと,そして,もし異議なく建物,土地を売却することができて,その売得金ができたというときには,その所有者に対してお渡しすればいいと思われるわけですけれども,一方で,今,藤野委員が御指摘になったような,所有者がいないような場合があったりして,連絡がうまく付かないということもあり得る。供託の規律は,ものすごくよく使われることになるかどうか分からないところがありますけれども,所有者不明土地管理制度と異ならせて,あえてこちらには設けないというほどの積極的な理由もないだろうということで,供託の規律も置いておくというような趣旨でございます。
○山野目部会長 蓑毛幹事におかれては,併せて弁護士会の先生方に御紹介いただければと思います。佐久間幹事,どうぞ。
○佐久間幹事 ありがとうございます。14ページの(2)について,2点ございます。
  1点は松尾幹事と,結論は違うのですけれども,同じような意見でして,今,藤野委員もおっしゃったことで,管理不全土地管理人と所有者不明土地管理人,建物もですけれども,は,隣接した制度といって差し支えないと思うのです。所有者不明土地管理人の方は所有者が不明のときしか使えませんけれども,管理不全土地管理人の場合は所有者が不明であってもなくても使えるということになっていると思います。その上で次に,松尾幹事が先ほど,両方の制度における所有者の責められるべき程度というのはそれほど違うのか,というふうなことをおっしゃったように思うのです。そこもそう思いまして,さらに私は,第三者から見て,専門家ばかりがこの土地管理人を相手にするのであれば,どちらがどちらというのは当然区別できるでしょうし,すべきなのかもしれませんが,土地管理人の取引相手となるのが必ずしも専門家とは限らないということを考えますと,第三者から見て,よく似た土地管理人の制度が二つあり,そのどちらかを区別しなければならないというと言いすぎかもしれませんが,どちらかによって自分の保護の在り方が違うというのは,なかなか難しい問題があると思うのです。
  そこで,ここは松尾幹事と同じ考えなのですが,二つの場合で第三者保護要件はそろえておく方がいいのではないかと思っています。そろえる上で,結論は松尾幹事と違って,私は両方善意だけでいいという,前回申し上げたことですけれども,そういうふうに考えています。最後の善意か善意無過失かはともかく,両方そろえた方がいいのではないかというのが基本的に申し上げたいことの1点目です。
  2点目は,③についてなのですが,これって,処分しますよというときに駄目ですと一言言えば,それで処分を見合わせてもらえるということですよね。しかし,処分をしないと事実上,所有者がまともに対応しないために管理不全状態を解消することができないというときは,結局,妨害排除とか,もう一回,別に本人相手にやれということになるのだろうと思うのですが,この制度は,それをできるだけ避けて,簡易にというと少しおかしいかもしれませんけれども,管理人を選んで,もうその人を相手にすればいいようにしましょうというものではないかと思うので,単に異議を述べただけで一切裁判所が許可を出せないというのがいいことなのかどうか,やや疑問に思っています。端的に言えば,異議こそが広い意味での管理の妨害に当たる場合だってあり得るのではないかということです。特に管理不全建物の方に行くと,これはもう壊すしかないではないかというようなことは結構あるのではないかと思うので,強い意見ではありませんけれども,これでいいのかどうか,やや疑問に思う,異議があれば,それを考慮して裁判所が許可するかしないかを決めるということにするのでよいのではないかと思うということを申し上げます。
○山野目部会長 佐久間幹事から前段,後段とも御意見にわたる御発言を頂きました。
  前段で話題提供をいただきました,相手方の方の要件がどう在るべきかということに関しましては,部会資料52で提示している方向は,所有者不明土地管理命令の場合と管理不全土地管理命令の場合とで,第三者保護の主観的要件をそれぞれに考えることにする,すなわちその帰結が同じになっていないというものを御提示しておりますが,そろえるべきではないかというお話を松尾幹事と佐久間幹事から頂いたところであります。
  今後の立案の参考とするために,ここの点について何か御意見がおありでいらっしゃれば,この段階でお教えを頂きたいと望みます。民法の先生方におっしゃっていただくということを,何かあればお願いしたいですし,もちろんそのほかの委員,幹事の皆さんも含めて,感ずるところがあればお教えいただきたいと考えますけれども,いかがでしょうか。
  佐久間幹事がおっしゃったように,相手方になる第三者の側から見ると,不ぞろいだと安定感がないものではないかという話もごもっともであるとも感じます。
○水津幹事 所有者不明土地管理制度と管理不全土地管理制度とで,第三者保護要件が異なることの理由付けとして,両制度では,管理人に土地の管理処分権が専属するかどうかが異なることが挙げられています。しかし,管理人に土地の管理処分権が専属するかどうかは,土地の所有者は,管理人が選任された後も,その土地を管理処分する権限を有するかどうかという問題とかかわるものです。他方,管理人がどのような行為をする権限を有しているのかは,別途規律されます。このことについて,両制度は,管理人が保存行為等の範囲を超える行為をするときは,裁判所の許可を得なければならないという共通の規律を置いています。管理人がこの規律に反して,裁判所の許可を得なければならないとされている行為を裁判所の許可を得ないでした場合において,第三者をどのように保護すべきかが,ここでの問題です。そうであるとすると,管理人に土地の管理処分権が専属するかどうかが異なるということをもって,第三者保護要件が異なることを正当化するのは,難しいように思いました。
○山野目部会長 水津幹事のおっしゃった御疑問の向きをよく理解することができます。
  引き続き,その点について御意見を承ります。いかがでしょうか。
  今,部会資料でお出ししているような差異が生ずるということで,むしろこのまま進むことでよいという御意見でも結構ですし,改良を要するという御意見でももちろんよろしゅうございますが,おありでいらっしゃれば御遠慮なく御指摘ください。いかがでしょうか。
  それでは,今伺ったような点を参考にしながら,引き続きここのところをもう少し調査検討をさせていただくことにいたします。ありがとうございます。
  それから,佐久間幹事からの先ほどの御発言で,後段の方でも御意見を頂いておりまして,14ページの(2)③のところに登場してくる,処分を裁判所が許すに当たっての許可を与えるかどうかを審理,判断をする際に,所有者が異議を一言述べると,その許可がもうできないことになるということでよろしいものですかという御疑問の提示がありまして,取り分け非常に荒廃した建物のような局面を考えると,そのことは現実社会的にも深刻ではないかという問題提起を頂いたところであります。
  ここについて何か御意見がおありの方がいらしたら,お話を承ることにいたしますが,いかがでしょうか。
○蓑毛幹事 日弁連のワーキングの議論では,部会資料の規律に賛成するというのが多数意見でしたが,少数意見として,佐久間幹事と同じように,一定の要件の下に,所有者が異議を述べても,③で裁判所の許可に基づき処分できるとした方がよいという意見もありました。
  ただし,仮にそのような意見を容れるとしても,③の規律だけ改めるのはよくないと思います。今の規律は,対象となる不動産を比較的広くとらえる代わりに,発令の段階では,所有者がその建物に現に居住していて,管理人の選任に反対している場合には,そもそも発令されず,また,管理人がなし得るのは,原則として保存行為のみで,所有者が異議を述べると処分できないという,いわばマイルドな制度設計になっています。所有者としては,そのような仕組みになっているのだったら,管理人が選任されてもよいと思って選任に反対しないでいたところ,最後の段階では,所有者の異議があっても,管理人が処分できるというのでは,バランスを欠くと考えます。
  考え方として,この制度を,所有者の意思にかかわらず,管理人が建物の取壊しも含めて行えるという,いわば激しい制度設計で作ることもできるかもしれませんが,その場合は,入り口段階から,所有者の権利保護要件を含めて検討し直し,どのようなケースで発令され,命令が維持され,処分に至るのかを考える必要があると思います。たとえば,居住者がいない空き家で,管理不全による他人の権利または利益の侵害の程度が甚大といった場合に限るであるとか。最後の処分のところだけ修正するのでなく,発令のところから,全部をどのような仕組みにするかを検討しなければならないと思います。
○山野目部会長 処分についての所有者の異議について,蓑毛幹事からも御発言を頂きました。
  ほかにいかがでしょうか。
○今川委員 先ほどの蓑毛幹事の質問において,選任をするときに所有者の陳述を聴くという規定が入ることは理解しました。それで,(2)の③の処分に関する異議ですが,この異議に関しても具体的な手続を規定されるということだと思います。今までの議論は,所有者が単に拒絶して妨害をするというような観点から述べられています。が逆に,土地所有者にとって不意打ちになって,所有者の権利保護に欠けるということがあってはいけないという観点も重要だと思います。したがって,その具体的な手続は規定されるのか,という質問と意見です。
○山野目部会長 非訟事件手続法において予定されている規律の概要について,御案内ください。
○大谷幹事 当初にその陳述聴取をするというのもそうですし,この土地を売却するか,処分するかどうかということに関しても,改めて土地の所有者に対して陳述聴取をするという形を想定しております。
○山野目部会長 今川委員,よろしゅうございますか。
○今川委員 はい。
○山野目部会長 ただいま御議論いただいている点について,ほかに御意見がおありでしょうか。
  佐久間幹事に問題提起を頂いた事柄,(2)の③の所有者の異議に関わる点については,蓑毛幹事,今川委員から御意見をお出しいただきましてありがとうございました。引き続き検討しなければならないことであると感じます。
  御参考までに,心配な点を2点申し上げますと,1点は,憲法上の疑義ですけれども,本当にその家が荒廃していて,隣地やその周辺に損害が及び,又は損害が及ぶおそれがあるということになるのであれば,この局面は,再々御確認いただいているように,物権的請求権の行使が機能として要件の上でも重複する場面です。物権的請求権が行使されてきて,こちらの土地に迷惑が掛かるから壊してくれとか,妨害が生じないような工事をしてくれということを正面から請求していくのであれば,所有権に基づく妨害排除請求権を訴訟物とする判決手続が始まって,弁論において当事者権を保障する手続が進んでいって,その結果,裁判所が必要やむを得ないと認める場合において,極端な事例にあっては,建物の取壊しを含む所用の作為を給付の訴えの判決として言い渡すということがあるかもしれませんけれども,ここの③は非訟事件手続でありまして,それでそこまで,異議があるにもかかわらず,異議はあるけれども裁判所は実際の事情を勘案して壊してよいという許可を出しますということをしたときに,財産権保障と裁判を受ける権利の保障との関係で,本当に憲法適合性の観点から,法制審査を克服することができるかということについては深刻な心配が残ります。そのことに留意しながら,ただいま御指摘いただいた点も含めて,検討を続けてまいります。
  もう1点は,そのような特定の隣地などが被る損害のことなども民事の紛争としては考えていかなければなりませんけれども,そうしたサイズを超えて,さらにその地域一帯にとって,その荒廃した家屋が大変に危険な状況を呈しているということになった場合には,これは引き続き,ここの管理不全土地管理命令の機能として引き受けるべき局面もあるかもしれませんけれども,抜本的な対応は,やはり空家等対策の推進に関する特別措置法が定める特定空家の問題として,市町村が費用を負担し手続を進めるという覚悟の上で,その地域の問題を乗り越えていかなければいけない,そういう契機もございます。それらを考慮に入れた上で,管理不全土地管理命令としてやれることは,この③で今提示しているところが限界であるかもしれないという気持ちでお出ししているところではありますけれども,なお本日,御注意があり,活発な御議論を頂いたところでありますから,引き続き検討をするということにいたします。ありがとうございます。
  管理不全土地管理命令の制度について,引き続き御意見を承ります。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
○垣内幹事 垣内です。ありがとうございます。大変細かい点で恐縮なのですけれども,16ページの説明のところで,管理人の訴訟遂行権限と申しますか,に関する記載に関してなのですけれども,16ページの(3)の上の二つ目の段落というのでしょうか,「また」という言葉から始まる段落に関してですけれども,管理不全土地管理人は土地の処分権を有するけれども,許可を得なければ行使することができないので,処分権があることを前提に当事者適格を認めることはできないということで,他方,裁判所の許可があれば当事者適格を有するという説明をされているかと思います。
  この辺りは恐らく,法律が仮にできたとして,その後の解釈の問題ということに実際にはなるのかなと思いますけれども,私自身は結論としては,裁判所の許可があれば訴訟遂行ができるはずであるし,許可がなければ適法に訴訟遂行はできないのだろうというところは,そのとおりではないかと考えているのですけれども,許可があれば当事者適格があり,ない場合には当事者適格がないという形で,当事者適格の存否という形で理論的に説明することがよいのかどうかという点については,若干,悩ましいと感じているところがあります。
  と申しますのは,この処分権を行使するのに許可が必要だというのはそのとおりなのですが,そのこと自体は所有者不明土地管理人の場合もほぼ実体権限そのものは,若干,過失の問題等,パラレルでないところもありますけれども,基本的には管理処分権があって,しかし保存行為等を超える行為については許可が必要であるという構造を同じくしておるわけですけれども,恐らく所有者不明土地管理人の場合には,別途,訴えについて原告又は被告とするということで,一応,当事者適格は一般的にあるけれども,訴え提起等の行為について更に許可が必要かどうかということが解釈上,問題になるという整理になっているのかなと思われますので,その場合とこの場合とで,どこまでパラレルになって,どこからずれてくるのかというような問題があるのかなと考えております。理論的な説明の問題ということになると思いますので,このゴシックの部分の当否等に関わるものではありませんけれども,御説明の際に,その辺りの問題についても可能な範囲で配慮していただくとよろしいのではないかと感じました。
○山野目部会長 ありがとうございます。部会資料16ページのところで議論をお示ししている,管理不全土地管理人の訴訟遂行権の根拠付けの問題について,所有者不明土地管理人の場合における訴訟遂行との関係において,向こうでも同じなのに,少し説明が不ぞろいですよねというような問題が起こらないように,精密な説明に努めてほしいという御要望を頂きました。事務当局において,ここの補足説明の改良に努めることにいたします。ありがとうございます。
  引き続き御意見を承ります。いかがでしょうか。
  管理不全土地管理命令について,御意見を承ったと受け止めてよろしゅうございますか。
  それでは,本日は部会資料52を用意いたしまして,その中身について順次御審議を頂いたところでございます。本日の審議をここまでといたします。
  次回の会議等につきまして,事務当局から案内を差し上げます。
○大谷幹事 本日もありがとうございました。次回の議事日程について御連絡をいたします。
  次回の日程は,2週間後,12月15日火曜日,午後1時から,また終了時間未定という形ですけれども,この法務省地下1階の大会議室ということになります。
  取り上げるテーマといたしましては,不動産登記法の見直しの関係,それから,いわゆる土地所有権の放棄に関する提案の関係を取り上げたいと思いますし,また,今日,引き続き検討するという部分もございましたので,必要に応じてそちらも取り上げさせていただければと思っております。
○山野目部会長 次回の第23回会議についての御案内を差し上げました。その点も含めて,この際,部会の運営などにつきまして,委員,幹事からお尋ねや御意見がありますれば承ります。いかがでしょうか。
  よろしゅうございますか。
  それでは,本日も熱心な御審議を頂きましたことに御礼を申し上げます。これをもちまして,民法・不動産登記法部会の第22回会議をお開きといたします。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立