民法改正後に賃借人が賃借物件内で自殺してしまった場合、その部屋を貸し出すことができません。相続人や保証人に損害賠償請求できますか

賃借人が賃借物件内で自殺してしまうと、嫌悪感のため、通常はその物件の賃借を希望する人が見つかりません。したがって、賃借人の相続人に対して損害賠償請求することは可能と考えられます。この賃貸借契約に個人保証人がいる場合には、賃借人の死亡によって保証債務の額が確定しますが、賃借人の死亡の時に損害賠償請求権が発生すると考えられますから、個人保証人に対しても損害賠償の保証債務を履行することを求めることは可能です。

ところが、民法改正により、個人保証人の場合には極度額を定めておく必要がありますので、将来、このような事態が生じた場合にどの程度の損害賠償請求をすることができるかを予想して極度額を定めておく必要があります。

様々な裁判例がありますが、東京地裁平成19年8月10日の判決では、2年分の賃料に相当する損害賠償を認めました。2年分というのは、最初の1年間は貸し出すことができず、次の2年間は半額の家賃でなければ貸し出すことができないという計算です。このような裁判例を参考にしながら極度額を検討する必要もありそうですね。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立