実は、敷金については、これまではっきりとした規定は民法にありませんでした。そこで、今回の民法改正で、初めて次のような規定が設けられました。
民法622条の2第1項
「賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
1 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
2 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。」
もっとも、この規定は、これまで敷金について一般的に理解されていた内容と異なるものではありませんので、実務的な影響は少ないものと考えられます。