債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができません(412条の2第1項)。したがって、「履行不能かどうか」の判断は、当事者がどのような意思をもって契約したのかが重視されることになります。
そこで、契約実務において、契約書の前文や目的規定において、契約に至る経緯や契約に至った動機、当事者の意図等について詳細に記載しておくことが考えられます。なお、改正民法の下では、契約の目的物の瑕疵の有無や解除、損害賠償の場面においても当事者の意思が重視されますので、契約書の記載方法はこれまで以上に重要になります。
また、「履行不能かどうか」を判断するためには、契約内容が明確に特定されている必要もあります。そういう意味においても、今後は契約書を作成しておくことがますます重要になります。
さらに、「履行不能かどうか」の解釈が争いとならないよう、履行不能となる場合を契約中に列挙しておくことも考えられます。