第2部 不動産登記法等の見直し
第1 所有権の登記名義人に係る相続の発生を不動産登記に反映させるための仕組み
1 相続登記等の申請の義務付け及び登記手続の簡略化
(5) 法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続の簡略化
法定相続分での相続登記がされた場合における登記手続を簡略化するため、法定相続分での相続登記がされている場合において、次に掲げる登記をするときは、更正の登記によることができるものとした上で、登記権利者が単独で申請することができるものとし、これを不動産登記実務の運用により対応するものとする。
① 遺産の分割の協議又は審判若しくは調停による所有権の取得に関する登記
② 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
③ 特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
④ 相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記
(補足説明)
部会資料60の第1の1(5)本文では、法定相続分での相続登記がされた場合において、その後に同本文①から④までの登記をするときは、「更正の登記によるものとした上で、」登記権利者が単独で申請することができるものとする旨の規律を提案していたが、第25回会議において、これらの登記(特に同本文①の遺産分割等による所有権の取得に関する登記)をする場合には、更正の登記のほか、所有権の移転の登記をすることも許容されると考えられるので、その趣旨を明確にすべきではないかとの指摘があった。
そこで、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案(案)(部会資料62)第1の1(5)本文においては、「更正の登記によるものとした上で」との文言を「更正の登記によることができるものとした上で」に修正することとしている。