改正民法の下で、売買契約における売主の目的物についての債務不履行に対しては、債権者はどのような請求をすることができますか。

 民法562条1項は「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」と規定しています。

 したがって、買主としては、売主に対し、まず、履行の追完を求めることができます。

 どのような方法、つまり、目的物の修補を請求するのか、代替物の引渡しを請求するのか、不足分の引渡しを請求するのかは、買主が選択することができます。これは、条文の構造上明らかです。

 しかし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができることになります。

 そして、この場合には、原則として、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をすることになります。債務不履行の場合には一般に履行の催告をすることが必要ですので、売買の場合には追完の催告をすることになります。そして、上記の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます(563条1項)。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立