近年、反社会的勢力を社会から排斥するという目標のもと、契約書中に、相手方が反社会的勢力であることが明らかとなった場合には無催告解除することができる条項を設けているケースが多く見られます。
条項例としては、次のようなものがあります。
(反社会的勢力の排除)
第●条 甲および乙は,現在,暴力団,暴力団員,暴力団準構成員,暴力団関係企業,総会屋,社会運動等標榜ゴロまたは特殊知能暴力集団等,その他これに準ずる者(以下,「反社会的勢力」という)のいずれでもなく,また,反社会的勢力が経営に実質的に関与している法人等に属する者ではないことを表明し,かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
2 甲または乙は,相手方が次の各号のいずれかに該当する場合,何らの催告をすることなく契約を解除することができ,相手方に損害が生じてもこれを賠償することを要しない。
① 反社会的勢力に該当すると認められるとき
② 相手方の経営に反社会的勢力が実質的に関与していると認められるとき
③ 相手方が反社会的勢力を利用していると認められるとき
④ 相手方が反社会的勢力に対して資金等を提供し,または便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき
⑤ 相手方または相手方の役員もしくは相手方の経営に実質的に関与している者が反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき
⑥ 自らまたは第三者を利用して,暴力的な要求行為,法的な責任を超えた不当な要求行為,脅迫的な言動,暴力および風説の流布・偽計・威力を用いた信用棄損・業務妨害その他これらに準ずる行為に及んだとき
仮に、このような条項を盛り込んでいなかった場合には、相手方が反社会的勢力であることが判明しても、民法の規定上、無催告解除をすることは困難なケースが多いと考えられます。
そのため、契約中に、相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には無催告解除することができる旨を明示しておくことは有用です。