たしかに同じ時点である場合が多いとは思いますが、異なる時点となることも考えられます。
たとえば、弁済期の定めのある債権(支払期の定めのある売買代金債権、返済日の定めのある貸金債権等)については、債権者は、支払期や弁済期がいつであるかは知っているものと考えられますので、「債権者が権利を行使することができることを知った時」と「権利を行使することができる時」とは同じ時点になります。そうすると、実質的にはその時点から5年で消滅事項期間が経過することになります。
しかし、不確定期限(ある事実が生じることを期限とするもので、その事実の生じる時期が不明なもの)や条件が付された債権については、期限が到来したり条件が成就した時が「権利を行使することができる時」に該当しますが、債権者がその事実を即座に知ることができずに後日知ったという場合には、その後日が「債権者が権利を行使することができることを知った時」となります。この場合には、「権利を行使することができる時」から10年間と、「債権者が権利を行使することができることを知った時」から5年間のいずれか早く満了する時期に時効期間が経過することになります。