会社計算規則59条2項の解釈により。事業年度を変更する場合、変更後の最初の事業年度は1年6か月まで延長することができると考えられます。
(各事業年度に係る計算書類)
会社計算規則第59条 法第四百三十五条第二項 に規定する法務省令で定めるものは、この編の規定に従い作成される株主資本等変動計算書及び個別注記表とする。
2 各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。
3 法第四百三十五条第二項 の規定により作成すべき各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。
ところで、会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなすとされています。
会社法第338条 会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。
そうすると、定時総会で事業年度の変更の決議(定款変更決議)をした場合の会計監査人の任期が問題となります。
例えば、27年3月末が事業年度の会社が27年6月の定時総会で定款変更決議をして、事業年度末日を9月末に変更するため、変更後の最初の事業年度を平成27年4月1日から平成28年9月末日にしたとします。そうすると、次の定時株主総会は平成28年12月頃ということになりますから、「選任後一年以内に終了する事業年度」が存在しないことになります。
これについて、東京法務局の取扱は次のようにしているとのことです。
①事業年度を変更した後に会計監査人を選任してときは、当該会計監査人に当初からその事業年度の終了までを任せていると考えられるから、変更後の事業年度が1年以内に終了しないときでも当該事業年度に関する定時株主総会の終結の時に退任する。
②会計監査人を選任した後に事業年度を変更した場合には、選任時からその事業年度の終了までを任せていないことになるから、変更後の事業年度が選任後1年以内に終了しないときには、当該事業年度の変更の効力が発生した時点で退任する(上の例では24年6月の総会で任期が終わる)。
そのため、②のケースは、みなし選任ではなく、実際に選任決議をする必要があるという取扱をしているとのことです(登記研究770号参照)。