法定相続情報証明制度は所有者不明土地問題や空き家問題の大きな一因とされている相続登記の未了状態を抑止し、相続登記を促進するために創設されたものですが、その利用場面は相続登記手続きに限られず、「その他の手続き」も想定されています。
一覧図の写しの提供をもって相続があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができることを法定しているのは不動産登記手続きのみであり、その他の手続きにおける利用について相続があったことを証するとして取り扱うかはそれぞれの提出先の任意ではありますが、被相続人名義の預貯金の解約手続きや相続税の申告など、実際にも様々な場面で活用されています。
もっとも、一覧図の写しの利用に際しては、一覧図の写しで証明されている相続関係と実際の相続関係とに異なることがある点には注意が必要です。たとえば、一覧図の写しが作成された後に相続人が死亡して数次相続が発生しているケース、相続人の一部が相続放棄をしているケース、相続人全員が相続放棄をしたことにより次順位の相続人が相続人となっているケースなどが考えられます。