このたび退任する取締役に対し、退職慰労金とてして不動産を給付することは可能ですか? また、可能である場合、不動産の名義変更の登記原因はどのようになるでしょうか。

 退職慰労金として不動産を給付することは可能です。退職慰労金の決定は、株主総会で決議をする必要がありますが、必ずしも金銭の支給ではなく、会社が所有する不動産を与えることも可能です(会社法361条1項3号)。この場合の不動産の所有権移転登記を申請をするときの登記原因は、「年月日退職慰労金の給付」とするのが相当であるとの質疑応答が出されています(登研790号)。
 おそらく、会社法施行以前は、退職慰労金として金銭を支給する旨の決議しておいて、その代物弁済として不動産を与え、不動産の名義変更も「年月日代物弁済」と登記原因として登記を申請していたことが多いと思われます。会社法で金銭以外の報酬が認容されたことにより、上記の質疑応答が出されたものと思われます。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立