議事録の記載により、株主総会の招集の手続が法令又は定款に違反していることが明らかな場合があります。たとえば、招集期間が定款に違反して短期間であることが議事録の記載から明らかである場合です。
このように、招集の手続が定款に違反している場合、株主等は決議取り消しの訴えを提起することができます。しかし、いつまでも不安定な状態にしておくことはできないため、訴えの提起は決議の日から三箇月以内にしなければならないとされています。
(参考)会社法831条抜粋
次の各号に掲げる場合には、株主等は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
そこで、決議の日から三箇月以内に上記の議事録を添付して登記の申請がなされた場合は、「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき」として、却下することとされています(商業登記法24条10号)。
しかし、決議の日から三箇月以内に訴えが提起されなければ取り消されることはありませんので、その場合には、訴え提起のないことの証明を裁判所で発行してもらい、それを添付して登記申請することになります。なお、この訴えは本店を管轄する地方裁判所の専属管轄であるので、当該裁判所で証明書を発行してもらうことになります。
(参考)(提訴期間経過後の登記)
商業登記法第25条 登記すべき事項につき訴えをもつてのみ主張することができる無効又は取消しの原因がある場合において、その訴えがその提起期間内に提起されなかつたときは、前条第十号の規定は、適用しない。
2 前項の場合の登記の申請書には、同項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面及び登記すべき事項の存在を証する書面を添附しなければならない。この場合には、第十八条の書面を除き、他の書面の添附を要しない。
3 会社は、その本店の所在地を管轄する地方裁判所に、第一項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面の交付を請求することができる。