法制審議会 民法・不動産登記法部会 第23回会議議事録

  それでは,続けます。同じく部会資料53の「第4 登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化」について御意見を伺います。補足説明も含めますと,部会資料の19ページまでになります。この範囲で,いかがでしょうか。
○今川委員 第4の1の登記義務者の所在が知れない場合の一定の登記の抹消手続の簡略化ですけれども,基本的に賛成であります。(2)の買戻しについては,本来我々は登記義務者の所在不明を要件とすべきという意見だったのですが,飽くまでも政策的なものとして,不動産登記法60条の例外として位置付けるということであれば,本来共同申請で行うべき権利の登記の抹消について,一般的に単独申請が許容されるのだというところまで広げるという趣旨ではないので,(注)にあるように,事後通知をするということを前提として,10年期間経過で単独抹消を認めるのもやむを得ないという考えであります。
  そこで,確認事項ですけれども,この(注)の通知は,登記記録上の住所に宛てるしか方法はないということですねという確認です。買戻し特約の名義人について,まず,第2の住所変更の義務は所有権の登記名義人に対するものとなっていますが,買戻しの名義人は義務化の対象となるのか,ならないのかという点です。多分ならないのだろうと思うのと,買戻し特約登記の名義人については,現時点ではまだ住基ネット連携の対象にはならないですねという確認です。そうすると,登記記録上の住所はすでに旧住所であって,新住所が登記に反映されていない場合も少なくないと思いますが,登記上の住所に宛てるしか方法はないですねという確認です。それと,先ほども申しましたが,所有権の登記名義人以外の名義人の情報連携も将来に向けて検討はしていただきたいというのが要望であります。
  それから,確認なのですが,今回,補足説明の2の(2)において,公示催告の手続において,登記された権利の不存在又は消滅の立証も必要であるということで,改めて詳細な説明をしていただいておりますが,前回のこの点に関する部会の議論,部会資料でいうと35ですけれども,そこに説明されていたように,個別の認定の問題ではあるものの,登記された存続期間が経過した事実などを立証することで登記された権利は消滅したものと認定されるケースが多いものと考えてよいという説明があるのですが,それはそういうふうな理解で,あそこで示された考えはまだ生きているのかという点を確認したいということであります。
  2の解散した法人の担保権に関する登記の抹消手続の簡略化については賛成であります。
○山野目部会長 それでは,2点お尋ねを頂きました。お願いします。
○村松幹事 まず1点目ですけれども,登記上の住所に宛てて通知するほかないのは,それはおっしゃるとおりです。それで仕方がないと考えており,通知をしないよりはましであろうというところです。
  それから,2点目ですけれども,そこはおっしゃるとおりで,ここは一般的な要件としてそういうものが必要だという部分の改めての確認というところになりますけれども,具体のケースにおける当てはめに関しては,先般の部会資料で御説明した内容から特に何か変更したいというつもりではありませんので,そのまま生きているという認識でおります。
○山野目部会長 今川委員,よろしゅうございますか。
○今川委員 はい,結構です。
○橋本幹事 この第4関係につきましては,日弁連としては大きな異論はありません。賛成の方向です。
○山野目部会長 御検討いただきましてありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
○畑幹事 先ほど話に出た17ページの,権利が消滅したことの証明ということについて,前に確か私がお尋ねをしたのではないかと思います。今回,説明を加えてくださって,私としては引き続き,条文の文言との関係では少し分かりづらいという感触は持っておりますが,解釈としてそれなりに定着しているということであれば,それはそれで結構かと思います。
○山野目部会長 ありがとうございます。畑幹事に前回議論いただいたときに続いてお叱りを頂いているとおりでありまして,70条の文言は余り明解,軽やかではないと感じます。それでありながら,しかし,ここを今,文言を大きく改めるということにすることも混乱を招くおそれもございますから,補足説明で御案内している方向で提案を差し上げていて,これで進めようと考えているところについて,ただいま畑幹事から御理解を賜りました。御礼申し上げます。ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立