改正民法では、賃借人が死亡した場合には個人保証人の責任の範囲が確定することとされました。たとえば、賃借人Aが死亡したときは、その時点でAが賃貸人に支払うべき債務の範囲で個人保証人の責任の範囲が確定しますから、仮に、10ケ月分の賃料滞納があった場合には、その後もAの相続人が賃料滞納を続けたとしても、個人保証人Bは10ケ月分のみの責任を負えば足ります。この場合、もしも、個人保証人Bの極度額が10ケ月分未満の金額である場合には、個人保証人Bの責任は極度額までということになります。
ところで、賃借人Aが死亡したとしても賃貸借契約は終了せず、Aの相続人が賃借人の地位を承継することになります。そうしますと、Aの死亡時点以降はBは保証人としての責任を負わなくてよいことになりますから、賃貸人としては保証人がいない状態で賃貸借契約を続けなければならなくなります。
したがって、賃借人が死亡した場合には、新たに保証人を徴求するなどの対応が必要になるケースがありますので注意が必要です。