【資料52】民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案のたたき台 (2)

第2 共有等
12 持分の放棄
共有持分の放棄については、現行法の規律を維持するものとする。

(補足説明)
共有持分が放棄されたときは、その持分は他の共有者に帰属するが(民法第255条)、動産・不動産を問わず、他の共有者に不当に負担を押し付ける結果となる場合には、共有持分の放棄が、権利濫用(民法第1条第3項)に該当することもあり得る。
特に、不動産については、管理の負担が大きくなりがちであり、その共有持分の放棄は他の共有者に不当に負担を押し付ける結果となりやすいと思われる。また、仮に共有持分の放棄が認められるとしても、登記義務者である共有持分の放棄者と登記権利者である他の共有者との共同申請によらなければならず(不動産登記法第60条)例えば持分の移転の登記をしない限り固定資産税の納税義務を免れることはできないし(地方税法第343条第2項参照)、他の共有者は共有持分権の一部不存在や登記引取請求権の不存在の確認を求めて争うことが可能であるなど、他の共有者に与える影響は比較的小さいと思われる。
他方で、管理の負担が大きくない物が共有されている場合や、株式等が準共有されている場合において、共有者の一部が共有持分を放棄して他の共有者に持分を按分で帰属させることは、その財産の管理の観点からも有用なケースもあり得るところであり、一律に他の共有者全員の同意がなければ放棄を認めないとすることは適当でないと考えられる。
以上を踏まえ、共有持分の放棄については、現行法の規律を維持することとしている。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立