死亡退職金は誰が貰うことになりますか

死亡退職金の受給権者は、普通の場合、法律や会社の退職金規定などで定められています。
受給権者が法律や内規等で定められている場合には、受取人は相続人としてではなく、固有の権利として死亡退職金を受け取るものと解されています。
他方、こうした規定がない場合には、相続財産となるか受取人の固有財産となるかは、個々のケースによる判断となりますが、審判例は相続財産とする例が多いようです。

実際に次のようなケースがありました。

亡くなられたのは会社の創業者であり、死亡時は取締役会長でした。
役員退職金規程では、弔慰金と退職慰労金が定められていました。
まず、弔慰金については株主総会等の承認等の手続きがなく、金額的も在任年年数に関係なく儀礼の範囲の金額が定められていました。したがって、この弔慰金は、喪主に対する贈与という趣旨であると考えられ、法律上の相続財産には含まれないと思われます。

次に、退職慰労金ですが、こちらは役員在任年数に応じて計算するという計算式は定められていましたが、役員が死亡している場合に誰が受け取るかという規程はありませんでした。退職の事実が発生し、その後に役員が死亡したのであれば相続財産であることは間違いなく、相続財産として処理しなければなりません。しかし、今回のように在職中に死亡された場合は説は分かれているようです。しかしながら、実務的には、説が分かれている場合には最高裁判例にしたがえばよいと考えます。

最高裁判例は、死亡退職金の支給規程のない財団法人において理事長の死亡後同人の妻に支給する旨の決定をして支払われた死亡退職金は、特段の事情のない限り、相続財産に属するものではないとしています(昭和62年3月3日最高裁判所第3小法廷判決/昭和59年(オ)第504号(最高裁判所裁判集民事150号305頁))。

この判例は「財団法人」の例ですが、受取人の指定が規定されていなかったという意味では今回のケースと同様であると考えられますから、相続財産ではないということでよいと思います。

なお、相続税の計算においては「みなし相続財産」として計算する必要があるかと思いますので税理士さんに判断してもらうとよいでしょう。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立