株式数に発行価額を賭けても資本金の額と一致しません。修正する方法はありませんか?

 たとえば、会社設立の場合、1株の発行価額5万円、20株発行、資本金100万円などと、発行価額×株数=資本金という式が成り立つケースが大半です。

 ところが、この公式はもろくも崩れます。たとえば、この会社がその後、新株式を発行する場合に、新たに株主となる人には1株5万円で買って貰いたいが資本金に入れるのはその半額、発行する新株式は10株とします。この募集株式発行が完了した暁には、発行済み30株、資本金125万円ということになり、30株に5万円を乗じても150万円にはならなくなります。

 つまり、発行済みの株式の数と資本金の額は何の関係性もないのです。したがって、資本金の増減と関係なく株式の数を変更することができますし(株式の併合、消却、分割)、株式の数とは関係なく資本金を増加したり減少したりすることができます。

 現在、株式は無額面ですが、以前はほとんどの会社で額面株式が採用されていたため、額面×株数=資本金という式が成り立たないと何か気持ち悪いと感じる人も多かったようです。そのため、最低資本金制度をクリアするために配当可能利益を資本金に組み入れる時など、そのタイミングとあわせて株式分割をして額面×株数=資本金という式を「意地でも維持する」というケースもありました。

 株式は、種類株式でなければ1個1個の権利内容に差がないわけですから、会社法務の世界では、実は、それがいくらで発行されたかということはあまり意味がありません。その株主が何%の割合を所有しているかが大事なのです。

 どうしても「昔の額面×株数=資本金」となるように修正したい場合は事務所までお問合せください。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立