会社法の改正により、監査役の権限を会計に限定している株式会社は、平成27年5月1日以降に監査役の登記を申請するときまでに、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」旨を登記しなければならないものとされました。
貴社は平成10年設立とのことですが、平成18年5月1日より前に設立された株式会社で、当時、資本金が1億円以下または負債総額が200億円未満であった会社は、平成18年5月1日以降は監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めがあるものとみなされています。
そこで、平成27年5月1日以降に監査役の登記を申請するときまでに、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」旨を登記しなければなりませんが、この登記をするためには、法務局に定款等を提出して監査役の権限を会計に限定していることを証明する必要があります。そこで、今回の改正に対する実務的な対応について提案いたします。
提案1 平成18年5月1日以降に作成した定款を探す
現在の会社法施行日(平成18年5月1日)以降に作成された定款には、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する」旨の規定がされていると思われます。この定款があれば、スムーズに登記をすることができます。・・・・・・コスト約7,700円※
提案2 平成18年5月1日以降に定款を作成したことがないので新たに定款を作成する
平成18年5月1日に会社法が施行されたため、定款に使用する文言が大幅に変わっています。今回の改正を機に、現在の法律に合致した定款を作成します。なお、定款変更は株主総会の決議事項ですので株主総会議事録に定款変更議案も記載することになります。・・・・・・コスト約35,000円
提案3 監査役の権限についてのみ定款変更をして明記する
現在、定款はあるが、監査役の権限を会計に関するものに限定する規定が抜けている場合、当該規定を追加することができます。なお、定款の一部変更は株主総会の決議事項ですので株主総会議事録に定款変更議案も記載することになります。・・・・・・コスト約15,000円
提案4 定款の作成や一部変更をせずにすませる
会社法施行日(平成18年5月1日)以降に定款を作成したことはないが、監査役の権限を会計に関するものに限定していることは間違いない場合には、その旨の上申書を提出することにより対応することができます。・・・・・・コスト約15,000円
なお、「コスト」とは、当事務所にご依頼いただいて議事録等作成・登記を行った場合の費用であり、表示金額は「監査役の権限の登記」のみの金額(報酬等を含む)です。これとは別に、監査役の重任等の登記費用(約37,000円)が必要となります。