当社では、取引先との商品販売契約書の雛形を作っており、極力、その雛形に従って契約をしていただくようにお願いしています。このような場合、商品販売契約書は定型約款に該当しますか。

 定型約款とは、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」と定義されており、そこでいう「定型取引」とは、「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」とされています(法548条の2)。

 したがって、貴社の商品販売契約書の雛形が上記の定義に当てはまるかどうかを検討していただくことになります。

 ご質問の商品販売契約書の雛形は、ご質問の趣旨からすると、「不特定多数の者を相手方として行う取引」ではなく、相手方の個性に着目し、相手方との交渉によっては契約条項の変更もあり得る取引を前提としたものであると考えられます。

 また、商品売買取引においては、基本契約書で契約条件の詳細を定めておき、個々の発注時には対象物の品質、数量等のみを示して個別契約を結んで取引をすることも少なくありません。このような取引は、基本契約で内容を十分に認識して合意されているものと思われます。そして、個別の発注時において、基本契約書で定められた取引条件に拘束されるのは基本契約の効力によるものと考えられます。したがって、このような取引は「定型約款」による取引とはいえないものと思われます。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立