建設関係の会社を設立する際に、事業目的の定め方で注意する点はありますか

 会社の事業目的は、第三者が見た場合にどのような事業を営んでいる会社なのかある程度わかるような表現をしましょう。
 事業目的を定める場合には、設立後すぐには行わない事業であっても、将来的に行う可能性のある事業は記載しておいた方がいいでしょう。なぜなら、もしも、 将来、事業目的に定めのない新しい事業を展開することになりますと、事業目的の変更登記をしなければならなくなり、手間とコストがかかってしまうからです。

 事業目的は、通常、末尾に「前各号に付帯する一切の事業」という記載を入れます。したがって、事業目的として記載していない業務が発生したとしても、許認可等を受ける必要のない限り、会社の事業として行うことは問題ありません。

 建設業などの許認可を受ける事業を行いたい場合には、許認可を受ける官庁に、記載方法について相談してみるのもよいでしょう。さらに、許認可を必要とする事業の中には、一定の資格者の確保や経験年数などの要件を満たす必要がある場合もあります。これは事前に確認しておきたいものです。

 ちなみに、建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

 なお、「軽微な建設工事」とは、次の工事をいいます、
①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
② 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

 さて、許認可を受ける建設工事の種類は、次のとおり、2種類の一式工事と26種類の専門工事に分かれています。もしも、すぐには建設業の許可を受けないにしても、将来許認可を受けることも視野に入れて、次の種類から選択して事業目的に記載することをお奨めいたします。

•土木一式工事業
•建築一式工事業
•大工工事業
•左官工事業
•とび・土工工事業
•石工事業
•屋根工事業
•電気工事業
•管工事業
•タイル・レンガ工事業
•鋼構造物工事業
•鉄筋工事業
•舗装工事業
•しゅんせつ工事業
•板金工事業
•ガラス工事業
•塗装工事業
•防水工事業
•内装仕上工事業
•機械器具設置工事業
•熱絶縁工事業
•電気通信工事業
•造園工事業
•さく井工事業
•建具工事業
•水道施設工事業
•消防施設工事業
•清掃施設工事業

 さらに、建設業を行う場合には「産業廃棄物の収集及び運搬」を事業目的に入れるかどうかも検討する必要があります。「産業廃棄物の収集及び運搬」は、他人の出した産業廃棄物を産業廃棄物処理業者に運搬する業務で、許可が必要となります。自分の排出した産業廃棄物のみを運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。

 ちなみに、収集運搬の基準は次のとおり厳格に定められています。
1.産業廃棄物が飛散し、流出しないようにすること
2.悪臭、騒音又は振動によって、生活環境の保全上、支障が生じないように必要な措置を講じること
3.収集運搬のための施設を設置する場合には、生活環境の保全上、支障を生じないように必要な措置を講じること
4.運搬車、運搬容器及び運搬用パイプラインは、産業廃棄物が飛散、流出し、悪臭が漏れる恐れのないこと
5.運搬車の車体の外側に、産業廃棄物の収集運搬車である旨を表示すること
6.運搬車に、「産業廃棄物収集運搬業」許可証の写しの他、所定の書類を備えおくこと

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立