取引先が有する公共工事の請負代金請求権を差押えようと考えています。しかし、その請負代金請求権は譲渡禁止の特約がなされているようです。そのような債権を差押えることはできるのでしょうか。

 466条の4第1項は、「第466条第3項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない」と規定しています。466条3項は、当事者が譲渡制限の意思表示をした債権の譲渡がなされた場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができるという規定ですが、債権差押の場合にはこの規定を適用しないことを明らかにしています。

 なお、このような場合に、仮に、債務者の抗弁を許すとなると、当事者の合意により差押禁止債権を作ることができることになってしまうため、妥当ではないと考えられています。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立