個人根保証契約の極度額設定を定めた465条の2は一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする個人根保証契約を対象としており、貸金等債務を含む場合に限定していません。一方、個人根保証契約の元本確定期日を定める465条の3の規定は、個人貸金等根保証債務を含む場合に限って適用しています。これはなぜですか。

 個人根保証契約が締結される場合の主債務は、貸金等債務だけではなく、建物賃貸借契約の賃料支払債務、継続的売買契約の売買代金支払債務など様々なものが考えられます。

 このうち、建物賃貸借契約は法定又は合意により期間が更新されることが多く、また、企業間で行われる継続的売買契約等も、契約が自動更新されて長期に亘って契約関係が継続することも多いと思われます。

 このような場合にまで元本確定期日を定めなければならないとすると、元本確定期日以降の取引については根保証の効力が及ばないこととなってしまいます。

そ こで、元本確定期日を定める465条の3の規定は、個人貸金等根保証債務を含む場合に限って適用することとされました。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立