「従業員等への承継」で注意する点を教えてください。

親族内承継の場合と同様、次のとおり(1)関係者の理解、(2)後継者教育、(3)株式・財産の分配がポイントです。また、(4)個人(債務)保証・担保の処理にも注意が必要です。 (1)~(3)までは、
親族内承継の場合と基本的に同様じゃが、
特に次の点には注意が必要なのじゃぞ。
(1) 関係者の理解(親族内承継:Q6参照)
親族内承継の場合と比べて、より多くの時間が必要となる場合が多い。
現オーナー経営者の親族の意向をよく確認しておく。
(継ぐ気がないと思っていた親族が突然継ぎたいと言い出すケースもある)
一時的な中継ぎとして従業員等へ承継する場合は、十分意思疎通を行っておく。
(2) 後継者教育 (親族内承継:Q7参照)
必要に応じて社内・社外教育を実施。
(3) 株式・財産の分配 (親族内承継:Q8参照)
株式については、後継者の経営に配慮し一定程度後継者に集中させることが必要。
後継者に株式取得のための資力がないことが一般的であることに注意。(MBOの利用も検討)
現経営者の様々な要請に応じて会社法の各種手法が活用可能(Q11参照)。
(例)・現経営者の親族に財産権を残すため、議決権制限株式を発行して取得させる。
・拒否権付種類株式(黄金株)を現経営者が一定期間保持し、後継者の経営に睨みを利かせる。
(4)個人(債務)保証・担保の処理
事業承継に先立ってできるだけ債務の圧縮を図る。
後継者の債務保証を軽減できるよう、金融機関とねばり強く交渉する。
個人保証・担保が完全に処理しきれない場合は、負担に見合った報酬を後継者に確保しておく。

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立