借金問題は命の問題だ (浜松支部事例検討会)

 静岡県司法書士会浜松支部は、法テラスカード普及活動のひとつとして、福祉等との連携を模索する事例検討会を開催している。本日は、その4回目、テーマは借金問題!

 講師兼進行役を任された私は、実際にあった事例を交えて借金問題の悲惨さ、そこに潜む本質的な問題を語り、また、法的解決方法を説明しながらいくつかの設問を出し、グルーブディスカッションをしてもらった。

 後半では、末尾記載のケースについて、法律的な観点、福祉の観点からお互いに意見を出し合ってもらったところ、今までになく積極的な意見がお互いに出て、非常に有意義な検討会となった。

 また、その最後には、「保護するためにいろいろな枠をはめるのではななく、本人の自立を促すような支援が必要なのでは?」という意見が出され、強く印象に残った。

今日、覚えて帰ってもらいたいことは次の2点

「借金問題は命の問題だ」

「借金問題は絶対解決できる」

++++++++++++++++++++

検討したケースは次のようなものである(これは、ネット上に掲載されていたケースを若干加工したものです)。

Aさん(30代・男性)には、軽度の知的障害がありました。就労移行支援事業所を利用して、1年後に、大手製造業に就職しました。

働き始めたAさんは、めきめき力をつけ、1年後には正社員に抜擢されました。ところが、就職後3年目ころから生活が乱れ始めました。クレジットカードを作り、高価なものを買い始めたのです。既に、Aさんは車やバイクを、Aさんの妻は高価な時計やアクセサリーを買っています。ローン生活が始まり、返済におわれるようになりました。

これが勤務先の労働組合の知るところとなり、支援機関に相談があったので、関係者が集まって対策を検討しました。その結果、生活を立て直すため、司法書士に入ってもらい自己破産の道を選択することになりました。現在は社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を使って金銭の管理をしてもらっており、勤務先には今も継続して雇用されています。

Aさんは、今後、どのようなことに気をつけて生活したらいいでしょうか。

さあ、あなたならどのように考える?

 

 

 

 

投稿者プロフィール

古橋 清二
古橋 清二
昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A
浜松西部中、浜松西高、中央大学出身
昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる
平成2年 古橋清二司法書士事務所開設
平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます

  • 【動画】任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは!【動画】任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは! 任意的当事者変更は同意したが、本来なら違うアプローチがあったのでは? 専門職としての注意義務と責任とは!     https://youtu.be/w-NIt016I1w
  • 2021民法・不動産登記法改正を研究する 第10回 改正民法 ~相続の放棄をした者による管理~2021民法・不動産登記法改正を研究する 第10回 改正民法 ~相続の放棄をした者による管理~ https://youtu.be/QACUpdXooLg
  • 自筆証書遺言の作成方法を教えて下さい自筆証書遺言の作成方法を教えて下さい 自筆証書遺言の作成方法を教えて下さい  自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、印を押さなければなりません。ただし、自筆証書にこ れと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書でなくてもよく、パソコンで作成し […]
  • 遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められるのは預貯金の一部と聞きましたが、どのような金額が払戻可能ですか。遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められるのは預貯金の一部と聞きましたが、どのような金額が払戻可能ですか。  遺産分割協議がまとまる前に払戻しが認められる預貯金の額は、相続が発生した時点における残高の3分の1に、払戻しを求める相続人の法定相続分を乗じた額です。ただし、金融機関ごとに150万円が限度とされています。  たとえば、相続発生時点預貯金の残高が300万円で、払戻しを求める相続人の法定相続分が2分の1の場合、300万円の3分の1である100万円に法定相続分の2分の1を乗じた […]
  • 事業目的として受理できる例、できない例事業目的として受理できる例、できない例 受理できる例 事業、営業、商業、営利的事業、商取引、商工業、製造業、卸売・小売業、サービス業 受理できない例 当会社の目的に関しては範囲を限定しない、製造業以外 […]
  • 民法を学ぼう 保証 改正の概要民法を学ぼう 保証 改正の概要 民法を学ぼう 保証 改正の概要  「個人保証」をめぐるトラブルは後を絶ちません。例えば、事業を営んでいる友人から「迷惑はかけないので保証人になってほしい」などと言われ、断り切れず保証人になるということが行われています。  しかし、いくら「迷惑はかけないから」と言われたとしても、本人(主たる債務者)が返済できなくなると、保証人が代わりに支払いをしなければなりません。債権者か […]
  • 表題部所有者の相続人に登記義務は課されるか表題部所有者の相続人に登記義務は課されるか https://youtu.be/qfP2EKKE3Vs
  • 株券発行会社であることのリスク株券発行会社であることのリスク 株券発行会社であることのリスク 貴社は株券発行会社?  社長さん、貴社が株券発行会社か株券不発行会社かご存知ですか? 「株券発行会社」、「株券不発行会社」というのは法律上の定義があり、単純に、「うちは株券を発行していないから株券不発行会社だ」 […]
  • 「二段の推定」の典型例「二段の推定」の典型例 「二段の推定」の典型例 所有権保存登記抹消登記手続等請求事件(高知地裁(第一審)平成21年2月10日)   事案  原告は、全財産を相続する旨の遺産分割協議が成立したとして,被告が作成したとする証明書を提出。これに対し,被告は,本件証明書に署名したことはなく,印影も被告の実印とは異なる旨主張し,本件証明書は司法書士が勝手に作成したものであると主張。 事実認定 […]
  • 雨のち晴れ雨のち晴れ 雨のち晴れ   不自然な歩き方をする彼の足が義足であることがわかったのは、 面談を始めて30分ほど経ってからだった。  彼は現在無職であり、月6万円程の障害年金を受給している。 また、彼の傍らに寄り添っている妻も精神障害を負っており、月6万円程の障害年金を受給しているという。  彼の負債はT社1社のみで約100万円である。 […]
  • 時代に翻弄される人たち時代に翻弄される人たち 時代に翻弄される人たち (これは、平成27年6月29日に開催された静岡県司法書士会は浜松支部の人権委員会で当事務所代表の古橋清二が発表したものを文字おこししたものです)   Ⅰ はじめに 今日は、発表の機会をいただき、ありがとうございます。  判例解説ということですので、平成26年7月18日、最高裁で永住外国人の生活保護受給権に関する判決が […]
  • 人生の転機人生の転機 人生の転機 「先生、以前お世話になったウチの従業員のことなんですが、今日、本人から退職願が出てきました。これは、彼女の破産のことと関係があるのですか?」  夏も終わりに差し掛かった頃、ある会社の総務部長から彼女の進退について問い合わせを受けたものの、私には彼女の退職については何の心当たりも浮かばなかった。  そういえば、あらから5年が経とうとしている。彼女の自己破産の申 […]
  • 給与所得者等再生のための最低生活費算出の手引給与所得者等再生のための最低生活費算出の手引  給与所得者等再生を申し立てる場合、政令にしたがって再生生活費を算出しなければならない。実務では、コンピュータソフトを使って計算することが多いが、一度は、その原理を知っておいて欲しい。  本書は、最低生活費を求めるための唯一の手引書であり、実は、隠れたベストセラーである。  編者の「個人債務者再生制度研究会」の実態を知る人はほとんどいないという、不思議な書籍。なぜなら、「 […]
  • 会社の売買 -物語風-会社の売買 -物語風- 会社の売買 -物語風- 「それで、その会社の代金としていくら払ったんですか?」「50万円です」「それで会社の実印だけをもらったんですか……」 私は、目の前で小さくなっている中年の女性の目の奥を覗き込んだ。今時、こんな簡単に不良会社を掴まされることも少ないだろう。 個人事業をしているその女性は、仕事の関係者から法人成りを薦められ、「新規に設立するより安上がりだから」と休眠 […]
  • パートさん募集しています!パートさん募集しています! パートさん募集しています! 浜松市中区中央のオフィスで働きませんか? 仕事内容は、登記関係書類の整理、財産管理している個人のお客さんの経理処理(と言っても、通帳を見て簡単な会計ソフト使ってパソコンに転記するイメージ)、市役所等での書類の取寄せ(社用車使用)、顧問先の請求書の入金管理等です。 パートさんを含め、8名のアットホームな事務所です。 年齢不問、明るい方。未経験 […]
  • 故人の預貯金を払い戻すために家庭裁判所に対し仮分割の仮処分を申し立てる方法があると聞きましたが、どのような制度ですか。故人の預貯金を払い戻すために家庭裁判所に対し仮分割の仮処分を申し立てる方法があると聞きましたが、どのような制度ですか。  家事事件手続法200条2項に定められている仮分割の仮処分制度です。家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、審判又は調停の申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができます。  これにより共同 […]
  • 【動画】緊急解説! 小口資金貸付制度、住宅確保給付金制度、そして生活保護。生きるために活用しよう、決してあきらめないで!【動画】緊急解説! 小口資金貸付制度、住宅確保給付金制度、そして生活保護。生きるために活用しよう、決してあきらめないで! 【動画】緊急解説! […]
  • 相続分の指定と所有権の対抗問題相続分の指定と所有権の対抗問題 【相続分の指定と所有権の対抗問題】  父Aが死亡し、相続人は子供の私Xと弟Yの2名です。Aは、「Xの相続分を3分の2、Yの相続分を3分の1とする」との遺言を残していました。この遺言をもとにXは甲土地全てを含む遺産の3分の2を、Yが預貯金から残りの3分の1を相続することになりました。甲土地について、まだAからXへの所有権移転登記はしていませんでした。  ところが、Yには借金 […]
  • 入院・入所時の身元保証人の問題点入院・入所時の身元保証人の問題点 入院・入所時の身元保証人の問題点 https://youtu.be/hTBYUx7wWZo
  • 【動画】静岡県司法書士会研修会 「相続法改正の施行時期と適用場面」【動画】静岡県司法書士会研修会 「相続法改正の施行時期と適用場面」 【動画】静岡県司法書士会研修会 「相続法改正の施行時期と適用場面」  7月27日、台風で開催が危ぶまれましたが、予定どおり、静岡県司法書士会第1回会員研修会「さらにパワーアップ 相続実務必携 「相続登記の専門家」から「相続の専門家」になる」が開催されました。  参加申込みは、なんと252名! 昨年開催された研修会の最高が約140名とのこと。とんでもない記録的な参加申込みと […]

古橋 清二

昭和33年10月生  てんびん座  血液型 A 浜松西部中、浜松西高、中央大学出身 昭和56年~平成2年 浜松市内の電子機器メーカー(東証一部上場)で株主総会実務、契約実務に携わる 平成2年 古橋清二司法書士事務所開設 平成17年 司法書士法人中央合同事務所設立

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)