ヤミ金とは
ヤミ金とは、貸金業登録の有無にかかわらず、違法な高金利で貸付けを行う金融業者を総称して指します。
また、自らは貸付けを行わず、紹介料などの名目で金員を詐取する紹介屋、パソコンやデジカメなどの換金性の高い商品を安価で買い取る換金屋、また一部の提携弁護士(場合によっては司法書士)と組み暴利を貪る整理屋などについても、その被害は大きく、決して見逃すことのできない問題です。
さらに、近時、爆発的に増加しているいわゆる振り込め詐欺(架空請求・オレオレ詐欺・保証金詐欺)についても、その出自は同様と考えられます。
ヤミ金・架空請求の対処法
ヤミ金、架空請求に被害にあいそうになったしき、または被害を受けたときは、真っ先に司法書士や弁護士に相談してください。自分で何とかしようとしても無駄です。相手は犯罪のプロです。また、警察に駆け込んでも、話は聞いてくれるかもしれませんが、ほとんどの場合、解決までには至りませんし、被害届の受理もしてくれません。
このようなヤミ金、架空請求の被害に対しては、ヤミ金等の口座凍結をして司法書士や弁護士が直接交渉するなどの方法が最も効果的です。
ヤミ金・架空請求の種類と手口
090金融・携帯金融・短期業者
典型的なヤミ金は、「短期業者」と呼ばれる者です。手口と特徴は次のとおりです。
① サラ金利用者や延滞者、破産者等をターゲットにして、メール、ダイレクトメールや電話などで融資の勧誘が行われる。これらの勧誘は借りやすさが強調され、金利も法定内である旨表示されている。また、ガードレールや電柱などに「ブラックOK」「自己破産者OK」などの文言と携帯電話のみが書かれた看板・張り紙を貼り、顧客を集める。
② 貸付金額は小口(2万円~5万円程度)である(取引が繰り返されると十数万円と高額となることも稀にある)。
③ 借入れに際しては、携帯電話番号、勤務先、家族、家族の勤務先、父母、兄弟姉妹などの情報提供を求められる。
④ 貸付けは口座に振り込む方法によって行われ、契約書等は一切交付されない。支払いも銀行振込みが多い。
⑤ 返済は7日または10日のサイクル制が多く、サイクルごとに元本の5割から8割という異常な金利を払わされ、完済するためには2倍~4倍の金額を要求される。支払日の前日には「前日確認」の電話が入るが、それと歩調を合わせて他のヤミ金業者から融資の勧誘がしつこく行われる。中には「あなたの口座は知っているから」と勝手に金銭を振り込んでくる業者もある。「押し貸し」と呼ばれる手口である。
⑥ こうして、一度ヤミ金融に手を出してしまうと、次々にヤミ金融業者の餌食になり、わずか2カ月程度で30カ所以上のヤミ金融業者に手を出していることも少なくない。支払いが遅れると昼夜を問わず電話で恫喝し、「腎臓売れ」「会社にいられないようにしてやる」「親戚中に電話するぞ」「若い者を回す」などとどなって恐喝する。また、1日遅れると利息と称して5000~1万円を上積みして返済するよう迫る。それでも支払いが滞ると、職場の上司に対しては「とんでもない奴を雇っている」、親戚に対しては「金を払え」と恐喝する。
システム金融
「システム金融」とは、中小零細企業者に対し、ファクシミリやダイレクトメールで融資の勧誘を行い、違法な金利を請求する業者ですが、次のような特徴があります。
① 大量のダイレクトメールの郵送やファクシミリにより勧誘を行っているが、闇雲に送付するわけではなく、過去に商工ローン業者などの高利金融を利用した自営業者をターゲットにしている。もちろん、そのようなファクシミリ・ダイレクトメールには違法な金利は表示されていない。他方において「担保・保証人不要」といった文句に代表されるように、審査の気軽さのみが強調されている。
② 異常な超高金利である。「トイチ」とは10日で1割、「トサン」とは10日で3割という違法な高金利を指す俗語であるが、これらの金利をはるかに上回るものが圧倒的に多数である。
③ システム金融業者は、ネットワークで情報交換をしているものと思われる。なぜなら、一度1社から借りると、他社から、大量のファクシミリ・ダイレクトメールが送付されてくるからである。
また、そうした融資の勧誘は、返済日または返済日前日に、積極的に行われる。そして、多くの被害者は、システム金融業者の超高金利を支払うために、他のシステム金融から借りるという自転車操業に陥ることとなるが、これは勧誘を行う業者側が意図的に行っている。
④ 手形小切手を担保に取られる。このため、被害者は「手形小切手の不渡り、銀行取引停止処分」を恐れ、返済を継続せざるを得ない。
紹介屋・換金屋
多くは、折込チラシや雑誌などに広告を掲載し、「低利一本化」をうたい多重債務者を勧誘する。広告に表示されている金利は利息制限法所定の金利を下回ることも珍しくなく、明らかな虚偽表示といえます。
紹介屋は、融資の申込みをしてきた者に対し、自らは融資せず、他の業者を紹介し、紹介料という名目で高額な手数料を取る。実際には、何ら口利きもせず(そのため、紹介屋は必ず紹介屋の名を出すことを禁じる)、審査の甘い業者を教えているだけです。
低金利を表示した広告で勧誘を行っていることから、消費者金融業者に対する借入れがほとんどない状態で申し込んでいる被害者も多く見られます。
一方、換金屋は、自らは融資せず、換金性の高い電化製品(デジカメやパソコンなど)を購入させ、それを安価で買い取るというものである。当然のことながら、被害者には、クレジット債務が残ることとなり、結局は負債総額を増やすだけです。
家具リース、自動車リース
法律上の上限金利を潜脱する目的で、債務者の家財道具一式や自動車などを買い取り、これを債務者に貸与するリース契約を締結、債務者から高額なリース料を取り立てる違法金融業者をいいます。
こうした業者は、金銭消費貸借契約ではなく、家財道具や自動車のリース契約であり、リース料は利息ではないとの主張をしてきます。しかし、その実質は、違法金利を取るための違法契約であり、公序良俗違反による無効を主張することが可能です。
チケット金融
「金券代金後払いOK」との広告により勧誘を行っている業者であるが、その手口は次のとおりです。
まず、ある金券屋で、額面1000円のなんらかのチケット200枚につき、その代金20万円を10日以内で支払う約束で買い取ります。この際、被害者は、免許証や保険証のコピーを取られたうえで、申込書や契約書に署名させられます。
そして、その金券屋の指定する他の金券屋で1枚700円で換金することにより、14万円の現金を受領することができることになります。しかし、10日後には、最初の金券屋に対し、20万円を支払う必要があるため、受領した14万円に対し10日で6万円の利息を支払うこととなります。
このようなチケット金融と呼ばれる業者も、上限金利規制を脱法する目的で、金券の売買を仮装しているにすぎません。
つまり、このような金券の売買契約は、業者が債務者に対してチケットを買わせ、それを換金屋に買い取らせ、10日後に売買代金を支払わせるという方法で年数千パーセントにのぼる暴利を取っており、実質的には、金銭を貸し付けているもので、公序良俗違反であり、売買契約は無効であるといえます。
年金担保金融
「年金立替」「年金融資」などの広告を打ち、年金証書や銀行の預金通帳、銀行印、キャッシュカードなどを預かることにより、事実上年金を担保に取り、年金生活者を食い物にする違法業者です。
銀行を窓口とする公的年金担保融資以外は、年金を担保にとって融資を行うことは国民年金法24条や厚生年金法41条1項によって禁止されています。
このような業者に対しては、まず年金証書の返還を求め、また、振込口座の変更・解約等の手続を行い年金を確保する必要があります。
振り込め詐欺
「振り込め詐欺」は、いわゆる「オレオレ詐欺」をはじめ、架空の誘拐話で身代金を脅し取る恐喝事件や、アダルトサイトの利用料金名目などで請求書を送りつける「架空請求詐欺」、融資を装って申込者から保証金をだまし取る「融資保証金詐欺」の総称です。
① オレオレ詐欺
「おれおれ」などとはっきり名乗らず、子供や孫などを装って電話をし、交通事故を起こしたので示談金が必要・サラ金から返済を迫られている・妊娠中絶の費用に困っているなどと窮状を訴え、口座に振り込む形で現金を詐取しようとするものです。
近時では、警察官を装い、夫が交通事故を起こしたなどと称して示談金の振り込みを指示してくるものや、弁護士・保険会社関係者等の第三者を装った者を登場させるものが増加しているほか、予め入手した名簿で名前を確認したうえで親族を名乗るものもあり、手口は日に日に巧妙化しています。
② 架空請求詐欺
債権譲渡を受けた債権管理回収業をかたって、実際には利用していない有料情報サービス(有料アダルト番組、ツーショットダイヤル、ウェブ上の有料アダルトサイト、出会い系サイト等)の利用料や債権などを請求する文書を、電子メールやはがき等で送りつけ、送金を要求するもの。電子メールで送られるものは、迷惑メールの典型的な一形態である。
ヤミ金融対策法施行後、いわゆる短期業者や090金融が減少傾向にある一方、この架空請求、次に述べるオレオレ詐欺、保証金詐欺が激増しており、被害が絶えません。手口も日に日に巧妙化しており、注意が必要です。
③ 融資保証金詐欺
融資勧誘のはがき・メール等を送付したり、広告を打ち、電話等による融資申込みに対し「あなたは、借入金が多数あるという登録があるため融資できない。しかし、保証協会費を納めてそのデータを一端抹消すれば融資を受けることができる。これは国の制度の一つです」などと、保証金等を名目として、現金を預金口座等に振り込ませて騙し取る詐欺をいいます。広告等には低金利での融資がうたわれているが、決して融資をせず、保証金名目の金員の詐取を継続する。被害者がおかしいと気づき、解約を迫っても解約に応じません。専門家が介入すると、解約に応じる素振りを見せますが、返還日を先延ばしし、結局は行方をくらましてしまうことが多いです。